強力なアレルギー性鼻炎治療薬『デザレックス』および『ビラノア』

花粉症の時期もいよいよ終焉です。私は例年、きちんと治療をしているにもかかわらず、夜間の鼻閉や目のかゆみにかなり悩まされておりました。

今回の花粉症の時期はこれまでと違いまったく楽に過ごせました。
その理由の一つに今期は上記の2剤を内服したことがあげられます。
1-3月はビラノアを4-6月はデザレックスを内服しました。

上記の2剤は2016年秋に承認を受けたもので、今回の季節に初めて内服できたものです。

いずれも作用が早く、強力に効くことがいろいろなスタディーにて証明されています。

特にデザレックスについては食事と無関係に1日1回の内服でよく、早く、長く、強力に効くというのがウリです。

そして眠気がこないので運転手やパイロットでも使用の制限がありません。飲酒についても使用制限がありません。しかも薬価が安いです。『早い、安い、よく効く、そして安全性が高い』のがデザレックスです。

ビラノアとの直接比較ではビラノアのほうが若干効果発現が早いようです。効果についてはほぼ同様によく効きます。ただし、ビラノアは空腹時での内服でないと効果が減弱してしまうという弱点があります。0.6%に眠気が見られたとされています。多くの方は眠前での内服で対処されると思います。

私自身の印象ではいずれの薬剤も従来の抗アレルギー薬に比しはるかによく効きます。

しかしながら、今期において調子が良かったのは、他にもいくつかの要因が加わります。

パナソニックのRuloというロボット掃除機を購入し、毎日自室を掃除いたしました。
驚いたことにこれほどにかというほどにハウスダストがとれます。
タンスやベットの下の隙間までゴミをかきだしてくれます。
机の上などにホコリがたまらなくなったのに気づきました。
以前からルンバには興味がありましたが、たまたま購入したRuloは正解でした。
超おすすめです。

もう一つの要因はいろいろな整腸剤を飲んでいることです。
最近、腸内フローラがやたら脚光を浴びており、いろいろな疾患の予防・治療に役立つといわれております。
ビオフェルミンが花粉症にも効くという説があります。
実際のところ整腸剤でいろいろ体調が改善しているのを感じます。

ちょっとびっくりされるかもしれませんが、便移植といって健康状態の非常に良いドナーの便を内視鏡を用いて疾患のある方の腸に移植して腸内フローラを整えるという治療法が流行ってきています。
良質の便の提供者をスーパードナーというのですが、種馬のような貴重な存在になるかもしれませんね。

2017/6/9







 


年に1回注射するだけの骨粗鬆症治療薬『リクラスト』

加齢を重ねるにつれて、骨が弱くなり、骨折や背中が曲がり身長がちじんで猫背になってしまいます。大腿骨頚部骨折は寝たきりになるリスクが大きく、健康寿命が10年短くなるといわれています。

女性の場合、閉経後の女性ホルモンの低下が大きく関与しています。
更年期を迎えたら、最初の状態を把握するために骨塩定量検査を受けておくとよいでしょう。毎年、検査を受けて右肩下がりになってきたら、予防・治療に対する認識が高まると思います。


骨粗鬆症の治療にはいろいろなカテゴリーの薬が存在します。
カルシウム、ビタミンD、ビタミンK製剤は予防薬としての役割は大きいですが、既に進行している骨粗鬆症にはそれだけでは不十分といえます。

そこで骨粗鬆症を治療するための薬として、ビスホスホネート製剤(BP製剤)があり、すでに20年位前から第一選択としての地位を確立しています。

骨の代謝に関して言うと『新しい骨が作られては壊され』を繰り返しているのです。患者では骨粗鬆症の「骨が壊される(骨吸収)」の割合が多くなっており、「骨が作られる(骨形成)」の働きが弱くなっています。

この骨を壊す過程(骨吸収)に関与している細胞として破骨細胞が存在します。破骨細胞が活動することによって、骨が脆くなっていきます 

ビスホスホネート製剤(BP製剤)は破骨細胞に取り込まれ、骨を壊す破骨細胞の働きを抑制することにより骨が壊されなくなり、骨量が増えます。

これまでは内服薬として毎日服用、週に1回服用、月に1回服用というように進化してきましたが、空腹時に飲んで30-60分間は絶飲食としないと薬の吸収が悪く効きが悪くなるという弱点がありました。その後、月に1回の注射薬も出てきています。

今回ご紹介する『リクラスト』はなんと年に1回注射するだけでよいのですから、たいへん楽になりました。15分かけて点滴する薬です。
注射剤ですので体の中へ直接投与するので薬の効果が出にくくなることはありません。

重大な副作用として腎機能障害を引き起こす恐れがあります。そのため15分以上かけて投与する必要がありますし、投与した後は腎機能悪化が見られないかの確認が必要です。

ほとんど代謝を受けずに腎臓から排泄される薬のため、腎機能が悪化している患者さんでは慎重投与になります。

他にも、ビスホスホネート製剤(BP製剤)に共通する重大な副作用としてきわめてまれですが顎骨壊死があります。歯周病、歯槽膿漏の方には使用できません。特に歯科医院で抜歯をするなどの予定がある方は、3ヵ月はビスホスホネート製剤を休薬するように指導されます。これはこれまでの内服薬・注射薬でも同様の注意点です。

年に1回の注射であれば大きな負担にはなりませんね。月に1回の薬をもらうために毎月整形外科を受診されている方も多くいるのではないでしょうか?医療費の面でも利便性でもとても有用性が高いと思います。

ただし、時々の採血や半年ごとの骨塩定量検査などはきちんと受けられたほうがよいと思います。

2017/6/3

 


クローン病における4週間ごとのレミケード投与が承認されました。

レミケードはクローン病における特効薬で投与すると2-3日で腹痛の消失など明らかな効果が自覚されます。

しかしながら、長く使用しているとレミケードの血中濃度の維持が困難となり、効果が薄れる現象が現れるようになります。

これまでレミケードは維持療法としては体重当たり5㎎を8週間ごとに投与するとされていました。そして効果減弱例には体重当たり10㎎までの増量が認められていました。

レミケードの増量によりかなりの効果が得られたのは事実ですが、やはり8週間持たない例が多々ありました。

このたびレミケード体重当たり5㎎で4週間ごとの投与が認可されました。
これによりレミケードの血中濃度が有効域に維持され、完解が維持できるようになります。

これは患者さんおよびレミケードを扱う医療者にとって大きな福音です。

2017/5/26

 

 

持効型インスリン『ランタスXR』が好評です。


持効型インスリン『ランタスXR』の有効性

本来はインンスリンを必要としない2型糖尿病であっても、少量のインスリンを追加することによりてきめんによくなる方がおられます。

このような場合には1日1回のインスリン治療が有効です。

持効型インスリンは1日1回のインスリン注射にて24時間にわたり、一定量の基礎インスリンを補充できるため、空腹時血糖を良好に維持できるのみでなく、空腹時の低血糖を生じることなく、食後の高血糖をコントロールできるようになります。単独で用いることはなく、経口薬を内服中の方に、内服を継続したままでインスリンを追加することにより、血糖変動レベルを均等に落とすことが可能となります。この方法をBasal supported oral therapy(BOT療法)といいます。

従来から使用されてきた『ランタス』に対し、2016/9月から長期処方可能となった『ランタスXR』は3倍に濃縮されたインスリンで投与単位数は同じままで注入量が少なくてすみます。

ランタスには血中濃度の波があり、24時間目の効力がやや落ちてしまうという欠点がありました。朝に打つと翌朝には効きが悪くなり朝の空腹時血糖が高めになってしまいます。そのため、就寝前の注射が勧められています。

ランタスXRはよりフラットな血中濃度が維持できるため、どの時間帯に注射してもインスリン切れになるということがありません。
ランタスに比し空腹時血糖で15㎎/dlの低下が実現できたというデータがあります。HbA1cでは0.43%の低下が確認されています。そして、低血糖になることが少なくなったというのが、大きなメリットです

さらに、デバイスも著しく改良されており、注射するときの抵抗感がなく、打った感じがしないほどに楽にインスリン注射ができるようになりました。
当院ではすでに多くの方にランタスXRを処方しており、治療効果は良好で患者さんからの評価も大変好評です。

使用上の注意としてこれまでとの違いは、から打ちが3単位に変更されていることです。ところがデバイスには3のメモリがなくて、2と4の間に合わせて、から打ちをしなければなりません。本来は3のメモリをつけて色を変えるなどの工夫が必要だったと思います。メーカーにはさらなる改良を提案しております。

2016/12/23

 

 

簡便で有効な糖尿病治療薬『イニシンク』が処方可能となりました


 
簡便で有効な糖尿病治療薬『イニシンク』

糖尿病治療薬の主役は本邦ではDPP-4阻害薬です。
一方、米国においてはビグアナイド剤が第1選択薬とされています。
『イニシンク』はこの2剤の合剤であり、商品名でいうとネシーナ25㎎とメトグルコ500㎎を1錠にまとめたものとなります。1日1回1錠の内服であり、非常に簡便です。
 

DPP-4阻害薬は食事後に血糖の上昇に応じてインスリンの分泌を促して、食後の高血糖をコントロールする働きがあります。また、グルカゴンという血糖を上昇させるホルモンの働きを抑制することにより、空腹時も含めて適度に血糖を調整する働きがあり、単独投与で低血糖をきたすことは、ほとんどありません。
 
ビグアナイド剤(メトホルミン・メトグルコ)は、肝臓からの糖新生を抑制する働きと、体組織のインスリン感受性を高める作用により筋組織や脂肪組織での糖の取り込み・利用を促進します。また、消化管からの糖吸収を抑制する働きもあります。さらにGLP-1の分泌を促進し、GLP-1の作用を増強します。食欲を抑える働きもあり、体重増多をきたしません。平均的に血糖変動を抑える働きがあり、低血糖をきたさないなど多くのメリットがあります。メトホルミンはこれまで250㎎を1日2-3回の低用量で使用されており、効果が不十分でしたが、1日に2,250㎎までの使用が認められてから、その効果が存分に発揮されるようになりました。
 
いずれの薬剤も血糖変動を少なくするのが特徴で両者を併用した場合、互いの長所をいかすことによって、より良い効果が発揮されます。
 
すでにご紹介したDPP-4阻害薬とビグアナイド剤の合剤の『エクメット』は、1日2回の内服となりますが、非常に有効です。
 
今回ご紹介する『イニシンク』は1日1回のDPP-4阻害薬である『ネシーナ』とメトホルミン500㎎の合剤であり1日1回の内服でよいのが大きなメリットです。
 
『イニシンク』はネシーナ25㎎を1日1錠、メトグルコ500㎎を1日1錠を処方したのと同じになり、薬剤費はネシーナ単剤と同額ですのでメトグルコの分の薬剤費がかからなくなります。メトグルコは500㎎では足りない感もありますが、治験の段階では単独投与に比し併用群ではHbA1cで0.5%の低下がみられています。ネシーナ単剤で効果がいまいちという患者さんには非常に良い適応と思います。
 
ビグアナイド剤(メトホルミン・メトグルコ)については肝障害、腎障害、アルコール多飲、脱水などで使用の制限がありますので、いわゆるシックデイには服薬を控えてください。
また、CTなどで造影剤を使用する際にも、前後2日間は休薬する必要があります。
狭心症やがんなどでしょっちゅう造影CTや心カテで造影剤を使用する場合は合剤でなく、別々に処方してもらっておいた方がよいでしょう
 
ネシーナ単剤であれば上記のような心配はありません。
DPP-4阻害薬が日本で好まれている理由は、以上のような面倒くささがなくて、非常に安全で、効果がよいからです。
 
一方、ビグアナイド剤は非常に安価であることが、米国で好まれている理由の一つに挙げられます。体重増多をきたさないことも大きなメリットです。
 
今後、処方経験をかさねることにより、イニシンクの有用性・治療効果が確立されていくと思われます。
 
2016/11/29
 

 

急性胃腸炎がはやっています!!


急性胃腸炎の正しい対処法

ノロウイルスをを中心とした急性胃腸炎が流行っています。
初発症状は腹痛、頻回の下痢、嘔吐です。熱発も伴います。
胃がつかまれるような胃痛を訴える方もおられます。
比較的重症感があり、患者さんはヘトヘトです。
症状からして診断は容易です。

感染の発端は牡蠣などの2枚貝の生食になります。その後は感染者からの便口感染です。排便後の手洗いが不十分で、その人の調理したものから感染したり、トイレのドアノブ、吐物の処理時などにもうつります。感染者と周りの方々いずれも十分な手洗いが重要なのです。手を洗わずに食事をするなどもってのほかです。
本格フレンチの店ではお手拭きをくれませんね。電車に乗ったりお金を触った手でパンをちぎるのはいかがなものでしょうか?フレンチシェフの方、ここは日本ですからお手拭きくらいはだしましょうよ。気取る必要はないのではないでしょうか?ニーズは多いと思いますよ。

ところで、このような症状になったときあわてて医療機関を受診していませんか。
脱水で本当にヘトヘトの場合には、受診が必要で、輸液など適切な治療が必要となります。

しかし、多くの方はそこまで重症化することはありません。

嘔吐、下痢などは体内の毒物を排除するための防御反応なのです。
下痢がひどい場合にはトイレに閉じこもってください。
ある程度出てもまたすぐに行きたくなります。すべて出し切りましょう。
吐物には強烈な病原菌が含まれており感染力は強力です。
決して素手で触ってはいけません。
嘔吐するときは極力ビニール袋などにしてもらいましょう。
部屋にまき散らしてしまった場合には、手袋をもちいて処理して、汚れた衣類、タオル、寝具などは廃棄するしかありません。

感染力が非常に強いため、感染者は調理には携わってはいけません。また、潜伏感染の家族もいるでしょうから、食事はすべて火を通すことです。

下痢のまっただかなであわてて医療機関を受診してはいけません。トイレを占領して感染源となり、なかには院内で思いっきり嘔吐してしまう方もおられます。

症状がある程度おさまって、それでもすっきりしない方は受診されたら良いと思います。

治療としては漢方薬の五苓散がよく効きます。下痢よりも悪心が強い場合には柴胡桂枝湯がよいです。
さらに整腸剤、制吐剤(ナウゼリン)、解熱剤(カロナール)などで対処します。
下痢がある程度おさまってからもグズグズとする場合には下痢止め(ロペミン)を使用してもよいでしょう。

食事は食べると出てしまうので、温かくて栄養のあるスープをすこしずつ飲んで、栄養補給と脱水の予防にしましょう。

会社や学校へ行けるのは完全に症状がとれてからです。一週間は覚悟してください。特に飲食関係の方は厳守しないと、大変なことになるので、必ず守ってください。

2016/11/27


 

 

昼寝と2型糖尿病の発症について


長時間の昼寝で2型糖尿病発症リスクが増加

「昼寝」は世界共通の習慣ですが、睡眠時間や頻度はさまざまです。昼寝と2型糖尿病の発症リスクの関連を検討した研究が、2016年9月16日に欧州糖尿病学会(EASD)年次学術集会で発表されました。昼寝の時間が短いと糖尿病リスクは低下する傾向がありますが、1時間以上続くとリスクは45%上昇してしまいます。
  
睡眠は食事、適度な運動とともに健康な生活の重要な要素のひとつで、夜間睡眠時間と2型糖尿病の発症リスクには関連があることが知られています。

 一方、日中の昼寝と2型糖尿病リスクについては不明の点が多くあります。そこで東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科の山田朋英氏らは、昼寝と糖尿病の関連を調べた21件の研究から、アジアや欧州の30万7,237人のデータをメタ解析しました。
 
その結果、昼寝時間と2型糖尿病発症リスクには関連がみられることが判明しました。昼寝の時間が1時間以上続くと、2型糖尿病リスクは45%上昇するということがわかりました。

2型糖尿病は、不健康な食事や運動不足などの生活習慣がさまざまに関連し合い発症する疾患です。

 「短い昼寝には、疲労やストレスによる概日リズムの乱れを改善して、睡眠不足による内分泌の異常やメタボリックシンドロームを修正する効果がある可能性がある」と研究者は指摘しています。

 一方で昼寝の時間が1時間以上続く人は、2型糖尿病の発症リスクが高くなり、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が背後に隠れている可能性もあります。

第52回欧州糖尿病学会(EASD)年次学術集会

2016/11/14

C型肝炎にハーボニーを超える新たな新薬誕生(エレルサ/グラジナ)

C型慢性肝炎の最新治療

長きにわたり難治性疾患であったC型肝炎ですが、近年、経口剤の開発によりわずか12週間の治療により98%の方が治癒するようになりました。

なかでもハーボニーはウイルス耐性変異の問題や副作用の少なさから、大きな役割を果たしました。しかし、ハーボニーの大きな弱点は重度の腎機能障害のある患者さんには使用できないことでした。

一方で透析中の患者さんにはC型肝炎の患者さんが多くおり、その治療にはダクルインザ/スンべプラが使用されてきましたが、ウイルス耐性変異のある患者には効かないことがあり、副作用で治療が中断することもままありました。

このたびMSD株式会社から市販されたエレルサ/グラジナは患者背景に影響されず、ジェノタイプ1型のC型慢性肝炎および代償性肝硬変に対し96%程度の有効率を示しており、さらに重度腎機能障害合併患者に対しては99%の有効性を示しました。

これによりC型肝炎治療はほぼ完成されたといえるでしょう。


また、HIV合併患者に対しても95%の有効性が示されました。

これまで腎機能障害のある患者さん、ことに透析患者さんの治療には専門医でさえ、手探りの状況でしたが、大きな間口が開かれたといえるでしょう。

2016/11/3




 

プラザキサの即効性中和剤『プリズバインド』が開発されました。

心房細動に対する抗凝固薬(プラザキサ)に即効性の中和剤が登場

心房細動においてはひとたび脳塞栓症を生じると、重症化することが多く、半数が寝たきりになるか死亡してしまうため、その予防のために大変な努力がなされてきました。
 
抗凝固療法は諸刃の剣であり、効果が不十分であれば脳塞栓を生じ、効きすぎてしまうと出血の恐れがあります。
 
1962年にワルファリンが開発されましたが、こまかい投与量の調節や食事制限など面倒な面も多々ありました。2011年以降にプラザキサをはじめとした直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が開発され、大変使い勝手がよくなりました。
 
一方で、その作用を打ち消す中和剤がなかったことが、大きな問題でした。
 
心房細動は高齢者に多く転倒で大怪我をする可能性があります。頭を打って出血するかもしれません。消化管出血もしばしばみられます。また、緊急の手術が必要となったときはどうすればよいでしょう?
 
今回、開発されたプリズバインドは静脈注射薬で、注射直後からプラザキサの効果をほぼ100%抑制し、24時間にわたり効果が持続しました。
 
抗凝固療法においては出血の合併症は避けることができません。そのようなときに、このプリズバインドは大きな役割を果たしてくれることでしょう。
 
迅速・完全・持続的に効果を発揮するプリズバインドは、抗凝固療法を積極的に行う医師に大きな助けとなるに違いありません。
 
2016/11/1

 

日本初の3剤配合の高血圧治療薬『ミカトリオ』が承認されました

3剤配合の高血圧治療薬『ミカトリオ』

高血圧治療薬は様々な種類があり、作用点が異なります。
血圧を適正に保つという目的は同じですが、患者さんの病態に応じて、
適切に選択していく必要があります。
 
本邦ではARBという範疇に属する薬剤が広く使われております。
レニン-アンギテンシン系という腎臓からのホルモンを抑制することにより、
アンギオテンシンⅡによる強力な血管収縮、体液貯留、交感神経活性を抑制することにより、降圧作用を発揮します。
心臓、腎臓などの臓器保護作用、糖尿病の新規発症を抑制する作用などメリットが多く、降圧作用も確実で、安全性が高いため広く用いられています。
そのひとつに『ミカルディス』があります。アジルバ、アバプロ、オルメテック、ディオバンなどもこの範疇に入ります。いずれも優れた降圧効果、安定した降圧効果、臓器保護、動脈硬化の進展予防が証明されており、すぐれた薬品です。
 
Ca拮抗薬はさらに古くから広く用いられている薬で、末梢血管を拡張することにより、降圧作用を発揮します。効果は早く、確実に効くのが特徴で第1選択薬としてもよくつかわれています。アムロジンがその代表ですが、これしか処方したことがないなどという医師もいるくらいに安全性が高く有名な薬です。
 
単剤で血圧が十分に下がらないときは、この両者を併用して用いることが多くあります。
 
また、第3の選択肢として降圧利尿薬があります。
体の塩分を尿から出してしまう薬で、塩分過多の方、むくみがちの方などに有用です。
米国では広く用いられておりますが、カリウムやナトリウムが低下する、尿酸が高くなる、糖尿病が悪化する、脱水になることがあるなど副作用の点から、日本での使用は慎重でした。
 
しかし、前記の2剤にごく少量の利尿剤を併用すると、副作用が増えることなく大変良い効果が得られることがわかり、しばしば併用されるようになりました。注意深く利用すればよい効果が得られ大変良い処方です。
 
これらが配合剤として使用されるようになり、ミカルディスとアムロジンの合剤を『ミカムロ』、ミカルディスと利尿剤の合剤を『ミコンビ』といいます。ミカルディスの含量によりAP剤とBP剤が存在します。AP剤はミカルディス40㎎、BP剤はミカルディス80㎎を含みます。
 
このたび承認された『ミカトリオ』は、ミカルディス80㎎、アムロジン5㎎と少量の利尿剤(ヒドロクロロチアジド)を含んだものです。
 

いきなりミカトリオを処方することは許可されておりません。基本的にはミコンビBPを使用中で、さらに降圧が必要となり、アムロジンを一定期間併用し、処方が安定したのを確認したうえではじめてミカトリオが処方可能となります。
 
あるいはミカムロBPを投与中でさらなる降圧のためにヒドロクロロチアジドを併用して、処方が固定されたらミカトリオを処方することも可能です。
 
高血圧の薬を3剤服用というと多いように感じる方もいるかもしれませんが、難治性高血圧の方や、心血管病などの合併症のある方ではしばしば必要となります。
 
これらが1錠ですむのですから服薬の負担がすくなくなり、間違いもなくなるでしょう。
薬の飲み忘れや薬が嫌だといってやめてしまう問題もすくなくなります。
薬局での医療費も安くなります。    
 
ミカトリオは本剤に対し過敏性のある患者、妊婦、肝障害のある患者、透析中の患者、急性腎不全の患者には投与できません。
またラジレス(レニン阻害薬)服薬中の糖尿病患者には副作用が出やすく投与できません。
 
現在すでに上記3剤を併用投与されている方には大変な朗報ですね。
 
2016/10/30


 

骨粗鬆症の最新治療  6ヶ月に1回の皮下注射薬(プラリア)が好評

骨粗鬆症の最新治療『プラリア』

骨粗鬆症は更年期を過ぎると女性ホルモンの関係で急激に進行していきます。
当院では50歳を過ぎた女性に、骨粗鬆症が進行する以前から年に1回の骨塩定量検査をおこない、進行具合の評価をしています。男性の場合は60歳前後から検査を開始しています。

骨粗鬆症が進んでしまう以前に、骨塩定量検査にて骨塩の減少が把握できていれば早期の予防策がとれます。

カルシウムやビタミンDの摂取、運動、適度に陽に当たることなどが大事です。

薬物療法にも様々なものがあります。

予防の段階ではビタミンD製剤の補充でもよいでしょう。

若年者と比較して骨塩量が70%を割ってきたら、閉経後女性の場合SERMがお勧めです。
SERMとは選択的エストロゲン受容体モジュレーターといい女性ホルモンそのものではないのですが、類似作用があり骨粗鬆症の進行を抑えて、骨折を予防します。

ビスホスホネート製剤は破骨細胞の働きを抑える薬で、これも大変有効です。
月に1回内服のものが主流となっていますが、朝食前30分に服用しなければならないという面倒くささがあります。骨に働く薬のため歯科治療中の方で歯槽膿漏には使用できず、抜歯を控えている方は3ヶ月前からやめていただく必要があります。

これらの薬はビタミンD製剤との併用が可能です。
ビタミンD製剤のなかでも、『エディロール』は作用が強力でカルシウム剤を併用する必要はありません。

これらの薬を使用してもなかなか改善がみられない方やすでに骨粗鬆症が進行してしまっている方には『プラリア』の出番となります。また、プラリアの簡便性も適応の理由となるでしょう。

プラリアはRANKLという破骨細胞の形成・機能にかかわる蛋白を標的とするヒト型モノクローナル抗体です。プラリアは破骨細胞の形成を抑制し、骨吸収を抑制し骨皮質および海綿体の骨量を増量させ骨強度を強化します。

プラリアの6ヶ月に1回の皮下注射にて優れた骨折予防効果が得られます。
カルシウムが低下してしまうことがあるため、デノタスというカルシウム・ビタミンD・マグネシウムの合剤を服用していただく必要があります。すでにエディロールを内服中の方はそのまま継続していただければ、6ヶ月ごとの皮下注射を追加するだけで済みます。

注射はごく簡単で、インフルエンザのワクチンを打つような感覚で受けていただいて問題ありません。
正しく使用すれば副作用というものはほとんどないように思われます。

注意点としてはやはり歯の悪い方には使用できないことです。
歯周病、歯槽膿漏、抜歯を控えている方には投与はできません。
事前に十分な問診、口腔内の診察、できれば歯科受診が望ましいです。
また、本剤投与中に歯科を受診した際には、必ず本剤投与中であることを歯科医にお伝えください。

当院ではすでに治療を開始しており、非常に良好な効果が得られております。
継続率は良好です。

80歳をすぎてもシャキッと背筋を伸ばして若々しく生活してみたくないですか?

骨粗鬆症による骨折は寿命が10年短いといわれております。
早期からの定期検査と予防ないし治療介入が必要です。

さらなる最新情報として、プラリアは関節リウマチにおける関節破壊の防止効果を示したとされ、関節リウマチに対しても効能が追加される見込みとなっています。

2016/10/22

 

糖尿病治療のゴールデンコンビ『エクメットHD』


糖尿病治療薬の主役は本邦ではDPP-4阻害薬です。
一方、米国においてはビグアナイド剤が第1選択薬とされています。
 
DPP-4阻害薬は食事後に血糖の上昇に応じてインスリンの分泌を促して、食後の高血糖をコントロールする働きがあります。また、グルカゴンという血糖を上昇させるホルモンの働きを抑制することにより、空腹時も含めて適度に血糖を調整する働きがあり、単独投与で低血糖をきたすことは、ほとんどありません。
 
ビグアナイド剤(メトホルミン・メトグルコ)は、肝臓からの糖新生を抑制する働きと、体組織のインスリン感受性を高める作用により筋組織や脂肪組織での糖の取り込み・利用を促進します。また、消化管からの糖吸収を抑制する働きもあります。さらにGLP-1の分泌を促進し、GLP-1の作用を増強します。食欲を抑える働きもあり、体重増多をきたしません。平均的に血糖変動を抑える働きがあり、低血糖をきたさないなど多くのメリットがあります。メトホルミンはこれまで250㎎を1日2-3回の低用量で使用されており、効果が不十分でしたが、1日に2,250㎎までの使用が認められてから、その効果が存分に発揮されるようになりました。
 
いずれの薬剤も血糖変動を少なくするのが特徴で両者を併用した場合、互いの長所をいかすことによって、より良い効果が発揮されます。
 
DPP-4阻害薬は多くは1日に1回の内服ですが、『エクア』は1日に2回の内服が必要とのことで、やや不利な状況にありました。ただし夕食後も内服できることにより夜間の血中濃度をより高く維持でき、特に夜間-早朝での高血糖を抑制できるというメリットもありました。
 
ビグアナイド剤はかつて、250㎎を1日2-3回の低用量で使用されており、効果が不十分でしたが、1日に2250mgまでの使用が認められてから、その効果が存分に発揮されるようになりました。
使用経験の少ない施設ではいまだに低用量の250㎎錠が使用されておりますが、それでは十分な効果は得られません。糖尿病を得意とする施設では1000-2000mg/日の処方が多いと思います。
 
今回ご紹介する『エクメット』はエクメットHDでビグアナイド1000㎎/日、エクメットLDでビグアナイド500㎎/日を合剤として含んでおります。
 
当院では有効性の高いエクメットHDを処方しています。
エクメットHDを1日2錠で処方すればエクアを1日2錠、メトグルコ500㎎を1日2錠を処方したのと同じになり、薬剤費はエクア単剤と同額ですのでメトグルコの分の薬剤費がかからなくなります。
 また、朝晩2錠ずつ飲んでいたものが1錠ずつですむのですから、これはとても楽です。

多くのDPP-4阻害薬が1日1回の内服であり、1日2回のエクアは不利な状況にありましたが、メトグルコはもともと2-3回に分割して内服する薬剤ですので、この合剤は夜間の血糖もしっかりとコントロールできるという点で、かえって有利な状況となりました。
 
DPP-4阻害薬とビグアナイドは、日本と米国のトップ同士の組み合わせで、まさしくゴールデンコンビです。しかも薬剤費が安くなり、飲む手間も楽になる、服薬の間違いも少なくなるでしょう。
 
ビグアナイド剤(メトグルコ)については肝障害、腎障害、アルコール多飲、脱水などで使用の制限がありますので、いわゆるシックデイには服薬を控えてください。
また、CTなどで造影剤を使用する際にも、前後2日間は休薬する必要があります。
がんや狭心症などでしょっちゅう造影CTを撮る方や心カテで造影剤を使用する場合は合剤でなく、別々に処方してもらっておいた方がよいでしょう
 
エクア単剤であれば上記のような心配はありません。
DPP-4阻害薬が日本で好まれている理由は、以上のような面倒くささがなくて、非常に安全で、効果がよいからです。
 
一方、ビグアナイド剤は非常に安価であることが、米国で好まれている理由の一つに挙げられます。体重増多をきたさないことも大きなメリットです。
 
今後、処方経験をかさねることにより、エクメットの有用性・治療効果が確立されていくと思われます。
糖尿病を得意としているクリニックでは、ビグアナイドは1日に1500㎎ないし2000mgの処方の方も多くおられます。
今後、エクメット1500ないしエクメット2000などの剤型がでてくるのではと期待しております。
 
2016/10/26


 

『血糖値スパイク』に注目

2016/10/8のNHKスペシャルにて血糖値スパイクがとりあげられました。
血糖値スパイクとは空腹時の血糖が100mg/dl前後と正常であるにも関わらず、
食後に200mg/dlくらいまで跳ね上がるものをいいます。
この様なかたは、食後のインスリン分泌が遅く、血糖が跳ね上がってから
あわてて大量のインスリンを分泌するため、空腹時の血糖は下がっているのです。
検診などでは空腹時での採血が行われているので、多くの患者さんが見のがされています。
健常人の血糖は80-120mg/dlの間にコントロールされており、食後であっても血糖値はさほど上がりません。

この『血糖値スパイク』は、血管を痛めてしまう作用があり、動脈硬化が進行し狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞、脳出血などの脳血管障害と密接に関連しています

また、認知症や発がんとの関連もあきらかとなってきています。

診断はどのようにしたら良いのでしょうか?空腹時のみでなく食後などいろいろな時間帯で血糖を測ってみるのがをよいでしょう。

糖尿病外来でいまだに空腹時での受診を指示している医療機関が多くありますが、食後血糖スパイクが見のがされてしまっています。また、食事を抜くことで体調が悪くなったり、低血糖になる、あるいはインスリンも休止するので高血糖になったりとバランスをくずす結果となります。

糖尿病外来での採血は時には空腹時も必要ですが、定期診察の際はいつもどおりに食事をして受診されたほうがよいでしょう。また、自己血糖測定も非常に有用な手段です。ラーメンを食べたら血糖が230まで上がった、食後に運動したら血糖が上がらなくなったなど、さまざまな状況での血糖の把握が可能です。

血糖値スパイクへの対策は、食事の順番をかえることです。まずは野菜、それから肉や魚などのタンパク質と脂質、最後に控えめの炭水化物をしっかりとよく噛んで時間をかけて食べることです。麺類の汁は糖質が多く含まれており、急激に吸収されるので血糖が急激にあがります。塩分も多いので控えましょう。

朝ご飯を食べない方も多くおられますが、朝食を抜くと飢餓状態となり食欲が増し、吸収もよくなるので、昼食後の血糖が著しく上昇します。朝食はきちんと食べましょう。

そして、食後に少しずつでもよいですから、こまめに運動することです。日本の女性が長寿なのは夕食後のあとかたづけをするからだという説もあります。

食後の高血糖に対する薬物治療もさまざまなものがあります。
詳しくは糖尿病コーナーをお読みください。

2016/10/8

 

週に1回のGLP-1製剤『トルリシティ』の有効性と簡便性
 

血糖のコントロールにはインクレチンという小腸から分泌されるホルモンが大きな役割をはたしています。
インクレチンの働きにより血糖が上がってきた時にインスリンの分泌を促し、血糖の上昇を抑えます。
また、グルカゴンという血糖を上昇させるホルモンの働きを抑えます。

また、胃に働き、胃内容の排出運動を抑えるため食後の急激な血糖上昇を抑制します。
さらに、脳にも働き食欲を低下させる作用があるので、食後の血糖上昇を抑え、体重増加を抑制できます。

このような効果をもつインクレチンですが、DPP4という酵素により数分で分解されてしまいます。
日本で汎用されているDPP4阻害薬はインクレチンの効果をながもちさせる薬です。

インクレチンにはGLP-1とGIPというものがあり、特にGLP-1は血糖コントロールに重要な働きを有しています。
GLP-1製剤とは注射薬ですが、GLP-1そのものを補充するため、DPP4阻害薬よりもはるかに有用です。
強力な作用といっても血糖が上昇しているときに作動するため低血糖の危険は少なく、安全性の高い薬です。

これまでは1日に1-2回の皮下注射による投与が必要でした。毎日の注射となるとインスリンと同じく大変面倒ですね。
しかし、インスリンのような低血糖の心配がなく、体重が減るのは大きなメリットです。
インスリンは血糖を強力に低下させますが、空腹時にも作用してしまうため、投与法の調整をあやまると低血糖になります。
また、血糖を下げるので食欲が増すため、食事制限ができていないと、体重が増えてしまいます。

今回ご紹介する『トルリシティ』は週に1回の皮下注射にて効果が得られるため、大変使いやすくなりました。
しかも、そのデバイスが非常に使いやすいのです。
筒のような器具をお腹にあてて、ボタンを押せばかってに針がでてきて、薬が注入されます。
自分で刺すという恐怖感がなく、注射したことすらわからないくらいに痛みもありません。
当院での治療継続率は非常に良好です。

複数の内服薬を服用してもいまいちコントロールが不十分な方には、ててもよい適応となるでしょう。
単独投与もできますが内服薬やインスリンとの併用でさらに良い効果が得られます。

自信をもってお勧めできる糖尿病治療薬といえるでしょう。

2016/10/19

 

糖尿病に画期的な新薬登場

糖尿病の画期的な新薬が登場しています。
血液中を流れる糖を尿中へと排泄してしまう薬で、1日に80gの糖、カロリーにすると350-400kcal
のダイエットに相当します。ごはんにして1膳半ほどのダイエットに相当します。

尿糖の排出にともない、尿量が増える傾向にありますが、さほどではありません。

血糖では35-75mg/dlの低下が期待でき、ヘモグロビンA1c で1%、体重で3kgの減量が可能です。

他の経口糖尿病と併用しても同様の上乗せ効果が得られます。インスリンとの併用も可能です。

また、尿中のさまざまな老廃物を同時に 排泄するため、高血圧や高尿酸血症が改善するなど、
副次的な効果も得られます。

当院ではすでに茅ケ崎市内ではトップクラスの使用経験がありますが、継続率は非常に高く患者さんの満足度はとてもよいです。

特に大きな副作用はありませんが、尿糖がでるため膀胱炎を繰り返している方には不向きです。

また、高齢者では脱水になりことがあるので注意が必要です。処方しないほうが無難です。

肥満型で元気で過食傾向にある方が一番の適応です。

同系統の薬剤がほぼ同時に複数認可されておりますが、効果はほぼ同等です。

SGLT2阻害薬という範疇に属しており、薬剤名はカナグル、デベルザ、ルセフィー、スーグラ、ジャディアンス、フォシーガなどです。

もちろん食事療法、運動療法も頑張ってくださいね。

2016/10/1
 

週に1回内服の糖尿病治療薬が好評 (ザファティック ;DPP-4阻害薬)


糖尿病のお薬、毎日の内服は大変ではないですか?
飲み忘れたときは心配ですね。

日本ではDPP-4阻害薬(インクレチン関連薬)が治療の主役となっています。
DPP-4阻害薬の詳細については糖尿病コーナーに詳しく記載しておりますが、
簡単に言うと血糖が上がってきた時にインスリンの分泌を促し、血糖の上昇を抑えます。
また、グルカゴンという血糖を上昇させるホルモンの働きを抑えます。

そのため、血糖変動の幅が少なくなり食後の血糖の急上昇を抑えますし、空腹時に低血糖になるということはほとんどありません。

単剤での効果は非常にマイルドで、糖尿病予備軍というような方、空腹時の血糖は正常ですが、
食後に血糖が跳ね上がる食後高血糖、検診では見のがされてしまう隠れ糖尿病、
軽症の糖尿病のかたには大変良いお薬です。
副作用というものがほとんどないのが特徴です。

本格的な糖尿病の方には、他剤との併用およびインスリンとの併用により、さらに実力を発揮する基本薬です。
本邦では糖尿病で治療中の方の6-7割の方に処方されています。

これまでは1日に1ないし2回の内服が必要でした。

今回ご紹介する『ザファテック(武田薬品)』は週に1回服用するだけで、
これまでのDPP-4阻害薬と同等の治療効果があります。

当院では希望される方に対し順次ザファテックに処方変更しておりますが、治療効果において変化はなく、
副作用は今のところ認めていません。

なにより、患者さんからの評判はすこぶるよく、週に1回なので毎日薬のことを気にしなくてよくなるので大変助かる、他にもいろいろな薬を飲んでいるので毎日の薬が1剤でも減ると嬉しいなど、治療の継続率は非常に良好です。

1週間目に飲み忘れたら、その時点で服用すればどうということはありません。

診察中に当方から全員の方に説明するのは、時間的に困難ですので、外来診療の際にご相談されることお勧めいたします。

2016/10/17


 

新型がん治療薬『オプジーボ』が肺がんおよび腎がんにも保険適応となりました。

白血球は病原菌を排除するのみでなく、がん細胞とも戦っています。
しかし、がん細胞は白血球のがんを攻撃する部位をブロックしてしまう作用があり、
白血球の働きを抑え込んでしまい無制限に増殖を続けます。

『オプジーボ』はこの部位をしっかりと守る働きがあり、白血球ががん細胞を攻撃し続け、
がんの進行を抑えます。その効果は絶大で延命効果が確認されております。

当初は悪性黒色腫という非常に悪性度の高い皮膚がんが対象で、患者数が少なかったため、
1回の治療費が73万円という高額な薬価が設定されました。これを2週間間隔で投与するのですから、
医療費は莫大なものになります。

さらに肺がん、腎がんなど患者数がはるかに多い疾患まで適応が広がっており、
今後ますます適応拡大されていくものと思われます。
 
今年度の販売予測は1260億円と試算されております。
そのため薬価の見直しがいそがれています。

高額医療費の制度が利用できるので患者さんの負担は収入などにより決定され、
直接高額な医療費を請求されることはありません。

がんでお悩みの方は専門施設へご相談されることをお勧めします。
残念ながら当院のような個人開業医では使用できる現況ではありません。

この様な有効性の高い治療がだれでも気楽にうけられる時が、いずれくるものと期待しております。

2016/10/6




 

高コレステロール血症に画期的な新薬誕生      レパーサ(エボロクマブ
 

血液中に存在する脂質の量が異常になることを脂質異常症といいます。その中でも、血液中のコレステロール値が異常に高くなってしまうものを高コレステロール血症といいます。

高コレステロール血症は動脈硬化と深い関連があります。
このうち悪玉コレステロールと呼ばれるものがLDL-C、善玉コレステロールと呼ばれるものがHDL-C。中性脂肪(TG;トリグリセライド)はカロリー摂取過多、運動不足と関連しており、内臓脂肪沈着、脂肪肝などとも関連が深く、動脈硬化との関連は中間に位置するといえます。

高コレステロール血症(LDL-C高値)を放っておくと、狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患のリスクを高めてしまいます。また、動脈硬化を加速させることにより、さまざまな疾病を発症させてしまいます。
これらを総称して心血管病といいます。そして、重大な事象が発生してしまった場合を心血管イベントといいます。虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血)が主ですが、腎機能を低下させたり、下肢の血流障害(閉塞性動脈硬化症)などの原因にもなります。
心血管イベントは高血圧、糖尿病、メタボリック症候群、高尿酸血症、喫煙、不規則な生活習慣、食事の不摂生、運動不足、睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群、精神的ストレス、夜勤、過重労働などさまざまな危険因子と複合して生じます。

高コレステロール血症に対する薬物治療としては、まずHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)が使用されます。商品名で言うとリピトール、リバロ、クレストールなどがあげられます。これらはその強力なコレステロール低下作からストロングスタチンと呼ばれております。また、最初のスタチン製剤であるメバロチンも効果はやや劣るもののマイルドなスタチンとしていまだに使用されております。

これらの薬剤を最大限(最大耐容量)まで使用しても改善しない場合の治療薬として、エボロクマブ(商品名:レパーサ;皮下注140mgシリンジ)が誕生しました。エボロクマブは抗体医薬品であり、より詳しくいうとPCSK9阻害薬という種類の薬になります。 

レパーサは心血管イベントのリスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)で効果不十分な家族性コレステロール血症および難治性の高コレステロール血症に効能、効果をもつ皮下注射製剤です。

 家族性高コレステロール血症(FH)とは
脂質異常症の中でも、エボロクマブ(商品名:レパーサ)は家族性高コレステロール血症に対して主に用いられます。家族性高コレステロール血症(FH)とは、生まれつき血液中のコレステロール値が高い人のことを指します。遺伝的な問題により濃厚な家族歴がみられ、家族に高コレステロール血症や心血管イベントがみられます。身体所見では腱黄色種のためアキレス腱が著明に肥厚していることがあり、診断の手掛かりとなります。


本疾患では著明な高LDL-C血症ため血管壁に大量のコレステロール代謝物が付着し、動脈硬化が進行し心血管系の病気が引き起こされやすくなります。スタチンの効果は限定的でさらなる治療薬が求められてきておりました。

 エボロクマブ(商品名:レパーサ)の作用機序
通常、血液中に存在するLDL-Cは肝臓に取り込まれて分解されます。もっと詳しく言えば、肝臓に存在する「LDL受容体」という部分がLDL-Cを認識し、肝臓内に取り込むことでLDL-Cを分解します。ただ、肝臓に存在するLDL受容体に異常があれば、血液中に存在するLDLコレステロールを取りこめなくなります。

家族性高コレステロール血症では、遺伝的にLDL受容体やそれに関係する遺伝子に異常があります。そのため、生まれつき血液中のLDL-C値が高くなってしまうのです。

遺伝子は両親から受け継ぎますが、一方の親から受け継いだ家族性高コレステロール血症の遺伝子を「FHヘテロ接合体」といいます。FHヘテロ接合体の患者さんは500人に1人の割合であり、日本国内では25万人ほどいるとされています。

また、両方の親から病的遺伝子を引き継いだ家族性高コレステロール血症では「FHホモ接合体」といいます。FHホモ接合体は100万人に1人といわれています。

このとき、家族性高コレステロール血症ではLDL受容体に異常があるとはいっても、必ずしもまったく機能がなくなっているというわけではありません。そこで、何とかしてLDL受容体の絶対数を上げることができれば、LDL-Cを肝臓へと取り込めるようになります。

肝臓に存在するLDL受容体は、あるタンパク質がきっかけとなって分解されます。このタンパク質を専門用語でPCSK9といいます。PCSK9が存在することによってLDL受容体が分解されると、血液中のLDL-Cは肝臓へ取り込まれなくなります。

そこで、LDL受容体の分解に関わるPCSK9の働きを阻害すれば、肝臓のLDL受容体の数が増え、結果としてLDL-C値が下がるようになります。そうして血液中のコレステロール値を正常な値へと戻していくのです。

このような考えにより、LDL受容体の分解に関わるタンパク質(PCSK9)の働きを阻害することにより、肝臓へ効率的にLDL-Cを取りこむようにさせて高LDL-C血症を治療しようとする薬がエボロクマブ(商品名:レパーサ)です。

悪玉コレステロールの処理班をしっかり警護して、十分に働いてもらうものと理解していただくとわかりやすいと思います。

 エボロクマブ(商品名:レパーサ)の特徴
医薬品の中でも、エボロクマブ(商品名:レパーサ)は抗体医薬品と呼ばれます。感染症に罹ると、抗体がつくられることは有名です。抗体は「特定の物質に結合し、その機能をなくす」という性質があります。そこで、PCSK9というタンパク質へ結合する抗体を作成することにより、その働きを抑制しようと考えたのです。

家族性高コレステロール血症や高コレステロール血症の患者さんに対して、スタチンの効果が不十分な場合にスタチンと併用して、2週間に1度、または4週間に1度の皮下注射による投与によって脂質異常症を改善させる作用があります。

遺伝的素因がない高コレステロール血症の方においてもスタチン系薬を活用しても、LDLコ-C値を適切にコントロールできない方がいます。そのようなときにも適応となります。

つまり、エボロクマブ(商品名:レパーサ)はスタチン系薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)で効果不十分の場合にのみ用いられ、基本的にはスタチン系薬との併用で用いられます。

臨床試験では、スタチン系薬に追加してエボロクマブ(商品名:レパーサ)を投与することにより、優位にLDL-C値を下げることが確認されています。また、48週など長期にわたって効果が持続することも分かっています。

エボロクマブ(商品名:レパーサ)の主な副作用としては、糖尿病、注射部位反応、肝酵素異常、CK(CPK)上昇、頚動脈内膜中膜肥厚度増加、筋肉痛などが知られています。

このような特徴により、家族性高コレステロール血症や難治性の高コレステロール血症の患者さんに投与され、高LDL-C血症を改善させる薬がエボロクマブ(商品名:レパーサ)であり、狭心症などでステントを何本も入れている方などには福音となる薬剤です。


2016/10/7