心不全管理をアートする・・・脚本はどう作るのか

北里大学北里研究所病院 猪又孝元先生

 

本書は心不全領域の第一人者である北里大学北里研究所病院の猪又孝元先生によるものです。

 

かつて心不全には禁忌とされてきたβブロッカーが、今や心不全治療の主役の座を得ているように、治療法の変遷があり、病態生理や各種薬剤の薬理作用、時間軸により治療が異なることなど、心不全の病態と治療についてわかりやすく説明されています。

 

治療をギアチェンジする、選択した治療を、一体何のためにやるのか、うっ血をとるという『目に見える治療』なのか、今後の予後を改善していくという『目に見えない治療なのか・・・

 

時間軸の中で揺れ動く適材適所を常に意識し、脚本を書く。

これが心不全のアートなのです。

 

非常にわかりやすく読み安い本ですので、是非、一読され心不全についての理解を深めることをお勧めいたします。

 

2019/11/11





レジデントノート増刊 Vol.21 No.11 臨床写真図鑑ーコモンな疾患編 集まれ!よくみる疾患の注目所見〜あらゆる科で役立つ、知識・経験・着眼点をシェアする81症例

様々な疾患の特徴的な所見が載っておりとても勉強になりました。
症例提示が簡潔で説明も長すぎないのですんなりと読めます。
かなり難しい症例も含まれていますが、秒殺で正解できると気持ちよいですね。
総合診療医にはたまらなく楽しい本です。

2019/10/15



循環器内科医のCKD冒険記 山下 武 先生 南山堂

本書は心房細動診療の超スペシャリストである山下武先生の渾身の書といえます。
多くの講演の場において本書に記載されている内容をお話しされています。

CKD
(chronic kidney disease 慢性腎臓病)とは蛋白尿が持続したり、腎機能の指標であるクレアチニンの上昇が持続したものをいい、糖尿病・高血圧・慢性腎炎・加齢など様々な要因により腎臓の異常が持続し、徐々に腎機能の低下をきたすことがあるものです。

腎臓専門医以外の医師にとっては得体の知れない暗くて広い海のような分野であり、できれば避けて通りたい、わからないままに専門医に丸投げしがちなものでした。

CKDの進展は心血管死および非心血管死との関連が深く、末期腎不全・透析に至る前に死亡が生じやすい。そしてeGFRの低下、eGFRの低下速度、尿中蛋白の存在が予後悪化に大きく関与している。

CKDが心房細動を悪化させ、心房細動がCKDを悪化させる。そしてeGFRの低下した心房細動では非心血管イベントや非心血管死が増えており、治療に伴う副作用も多くなることから、抗凝固療法やアブレーションなどの治療方針の選択にも深く関わってくる。

心房細動の診療を通じてCKDについて学び、さまざまな結論を導き出し、いまやCKDというコンセプトはこれからの心房細動診療の質向上に必須との考えに至っています。


2019/9/26



Jmed 53 あなたも名医! 肺がんを見逃さない、画像診断のコツをおさえよう
神奈川県立がんセンタ-  山田耕三先生  日本医事新報社

誰も教えてくれなかった胸部画像の見方・考えかた
福井県済生会病院 小林弘明 先生  医学書院


上記2冊は肺がん画像診断セミナーに参加するに当たって予習のために読破いたしました。

胸部単純写真の見逃さないための読影法やCTも含めて画像の成り立ちについての病態生理・病理まで詳しく記載されています。アトラスや写真も豊富です。

このあとに
肺がん画像診断セミナーに参加したので大変よく理解できました。

GGNとかtree-in-budの意味がわからないという方には、読んでいただきたい本です。


2019/9/23
 

『病気が見える  循環器』  メディックメデイア

この本は循環器疾患の病態から検査・治療法まで詳しく記載されています。
これまでの教科書はこの疾患は検査ではこんな所見と書かれているだけでその理由をしっかり説明しているものはあまりありませんでした。


アトラスが豊富でとてもわかりやすく病態生理が説明されています。

閉塞性肥大型心筋症でどうして僧帽弁閉鎖不全症が生じるのか?
よく理解していないなら、この本が助けになると思います。

2019/9/22



『レジデントのための血液教室』 宮川 義隆 先生

この本は血液疾患を見ていく中で出会ったさまざまな疾患について読み物的に書かれています。ユーモアに富んだイラストとわかりやすい解説で血液疾患を楽しく学ぶことができます。

最近読んだ本の中では一番面白かったです。

レジデントのみでなく学び続けるあらゆる医師に有用な1冊といえます。

2019/8/29


『抗菌薬の考え方、使い方・・・魔弾よふたたび』 岩田 健太郎 先生

本書は感染症の分野での第一人者である岩田健太郎先生により書かれた本で、いつもながら、こまかく、過激に抗菌薬の適正治療について説明されています。

総論と各薬剤の説明は詳しいのですが、疾患ごとの各論がないのが残念!

例えば急性前立腺炎に対する薬剤選択、投与量と投与期間、そしてその理由・理論まで記載されていればよいリファレンスとなるのですが・・・ほかの本に書かれているのかもしれませんが、この分厚い本でまかない切れていないとは?

感染症治療に特化した治療各論の本を探したいと思います。

2019/8/27
 

 

『現場で役立つ呼吸器診療のレシピ』  長尾 大志 先生

日常診療における様々な疑問について平易に書かれており、すぐに役立つ内容です。

咳・痰の治療からはじまり、肺炎、喘息、COPD、結核、肺癌、間質性肺疾患まで、診断法から治療法の選択、どうしてこのように治療していくのかという背景に至るまでわかりやすく記載されています。

 

2019/7/6



『エキスパートが本音で明かす 不整脈診療の極意』 山下 武 編

本書は不整脈治療の第一人者である山下 武 先生の編集された本で、単に治療法を羅列しているのではなく、患者さんの状況に応じての治療法の選択など、詳しく述べられています。
大変わかりやすく、循環器専門の先生でなくても気楽に読めると思います。

抗不整脈薬の選択、アブレーション、抗凝固療法の実際の使用法について、詳しく述べられています。

たとえば、70歳の無症状の心房細動患者さんにアブレーションを行うべきであるかどうか?これは患者さんの生きのよさ(70歳という年齢をまだまだ若いと考えるか?)、自覚症状があるかどうか、心機能が保たれているかどうかなど、総合的に判断していくことになります。

日常診療でちよっと悩ましい症例にあたった時、なんでもかんでも専門医に紹介というよりは、総合内科医としてある程度の判断ができなければならないと考えます。

2017/5/10

『Common Disease の診療ガイドライン』


診療ガイドラインに関する本は多数出ていますが、本書は家庭医学後期研修プログラムを受けた後に、総合診療医・家庭医として活躍されている3人の筆者が、専門医の意見も取り入れて書かれた力作です。

最新の情報が記載されており、よくここまで勉強されたなと感心する次第です。

たとえばC型肝炎の治療については2016年11月に出たばかりの、エレルサ・グラジナについても記載されておりますし、B型肝炎合併ではC型肝炎の治療中に再活性化することがあるなど、消化器専門医レベルの情報が記載されております。

さらに、ガイドラインを超えた臨床現場でのリアルな情報(ビヨンド・ザ・ガイドライン)、海外での診療の現況まで分かりやすく解説されています。

すべての疾患を網羅しているわけではなく、日常診療における必要十分な情報と高く評価できます。

これまで読んできたガイドライン本の中でも、最上の一冊といえます。

超お勧めの一冊です。

2017/5/6



 

消化器専門医、内視鏡専門医必読の3冊を一挙紹介


『胃の拡大内視鏡診断』  八木一芳、味岡洋一

胃の拡大内視鏡診断について詳しく記載されています。
『胃炎の京都分類』とあわせてお読みください。

『消化器内視鏡(2016/8月号) 胃疾患アトラス』

当然知っておくべき一般的な胃疾患から、極めてまれな疾患まで、
きれいなアトラスと、詳細な説明でよくまとまっています。

『胃と腸(2017/5月号)、図説「胃と腸」所見用語集』

内視鏡検査においては、非常にたくさんの専門用語があり、
しっかりと理解しておく必要があります。
きれいなアトラスと分かりやすい説明が魅力です。
これまた必読の書といえます。

私事ですが、昨年(2016年)になんとなく食道の詰まり感があり、知友の先生に特別にお願いして、内視鏡検査を受けました。その先生はもともとは消化器専門でしたが、実は最近は乳がんで有名となり大変忙しい先生です。検査は大変スムーズでした。検査後の説明でRACがきちんと見えているので大丈夫ですよと言われました。
RACとはregular arrangement of collecting venulesの略で、胃粘膜の血管構築がきちんとしていて、健常に近い胃粘膜で胃癌にはなりにくいものを意味します。消化器内視鏡専門医であれば当然知っている言葉ですが
ちゃんと勉強しているんだなと、感心した次第でした。

このような用語がたくさんあるのですが、内視鏡専門医であればすべてをきちんと頭の中に入れておかなければなりません。


いずれの本も消化器疾患、内視鏡診断ついてきちんと学びたい、本格派をめざす先生方に必読の書といえます。

是非ご一読ください。

2017/4/30

 

『胃炎の京都分類』  春間 賢(監修)


2016年に日本ヘリコバクター学会が開催されたときに購入したものです。

内視鏡検査はすでに多くの施設に普及しております。
その中でも、最も多く診断されるのが慢性胃炎ですが、これが実に奥深いのです。内視鏡を行っている医師がどの程度理解しているか、かなり疑問なのです。

でっぱりがあれば生検、へこみがあれば生検、赤みがあれば生検・・・
なんてレベルの先生にあたったら、これは不幸ですね・・・

当院ではオリンパス製の最高機種であるEVIV LUCERA ELITEを採用しております。

従来のハイビジョン画質を大幅に上回る高精細画質を実現し、顕微鏡観察をしているがごとくの、微細病変の観察を可能とする拡大機能、さらに早期がんなどの微細かつ不明瞭な病変の早期発見に大きく貢献する狭帯域光観察(NBI;narrow band imaging)も進化しています。

早期がんの発見のみならず、胃粘膜が微細なレベルまで見えすぎてしまうため、これまで慢性胃炎としてかたずけられてしまったものにも、実は多様な違いがあることに気づかされます。

慢性胃炎は胃癌の母地となる重大な疾患であり、ヘリコバクターピロリ感染が大きく関与しています。

胃炎を正確に診断していくことが、精度の高い内視鏡診断、早期胃癌を確実に診断していく、良質な内視鏡検査の礎となるでしょう。

本書は胃炎の診断、分類などについて、きちんと学びたい、本格派をめざす先生方にお勧めの本です。

内視鏡検査を行っている医師には必読の書といえます。

是非ご一読ください。

2017/4/30

 

『循環器診療をスッキリまとめました』  村川裕二(編集)


2016年12月に日本循環器学会が開催されたときに購入したものです。

循環器診療にまつわる、様々な素朴な疑問に答えています。
大変わかりやすく記載されており、読みやすい本です。

この本は一般内科医、研修医にお勧めの一冊です。

是非ご一読ください。

2017/1/12

 

『IBD診療 ビジュアルテキスト』  日比紀文(監修)


2016年11月に日本消化器病関連学会(JDDW2016)が開催されたときに購入したものです。

医師のみでなく薬剤師や看護師、さらに栄養士などチーム医療に主眼を置いて炎症性腸疾患(IBD)の適正治療、管理の方法についてわかりやすく解説してあります。『チーム医療につなげる』と副題がついています。

潰瘍性大腸炎やクローン病は治療法についてはほぼ確立されてきておりますが、難治例もありオーダーメイド治療は欠かせません。また、妊娠・出産にまつわる不安は大きいです。

この本は患者さん向けとしてもお勧めの一冊です。

是非ご一読ください。

2016/12/23

 

『甲状腺の病気 パーフェクトアンサー115』  浜田昇、岡本泰之


2015年11月に福島で甲状腺学会が開催されたときに購入したものです。

一般の方向けに甲状腺疾患のあらゆる疑問に答えています。
『疑問と悩みを徹底解決』と副題がついています。

甲状腺診療はわりとシンプルなようですが、診断法、治療法の選択、薬の始め方、減量中止に際しての注意、妊娠した時、再発した時、腫瘍を見つけた時の対応の仕方など、日ごろから多数の症例をみていないと、正しい判断ができません。いろいろな患者さんをみているとさらに素朴な疑問がいろいろとわいてくるものです。
この本は一般の人向けとはいえ内容は多岐にわたっており、詳しくわかりやすく解説してあります。

わたくしもこの本を繰り返し読んで、患者さんへの説明の際のヒントとさせていただいております。

総合内科を志している若手の先生、甲状腺疾患にかかわるコメディカルの方々にもお勧めの一冊です。

是非ご一読ください。

2016/12/15

 

さすらいの循環器病学 この治療を行う本当の理由』  村川裕二


循環器病学会に参加した際に書店で見つけました。
あまりに面白くて一気に読み終えました。
さらに続編もでています。

村川裕二先生は帝京大学医学部溝口病院第四内科教授です。
内容はメディカル朝日という雑誌に掲載されたもので、循環器にまつわる様々を、随想的に綴ったものです。

以前にも似たような内容の本を出されていて、『循環器治療 この薬を使う本当の理由Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』の続編といえるものです。

『あなたが心電図を読めない本当の理由』、『続・あなたが心電図を読めない本当の理由』『続・続・あなたが心電図を読めない本当の理由』もお勧めです。

あまり難しいことは言わないで、こうすればよいことになっているけど、実はよくわかりませんなんて、一般内科医に自信をつけさせてくれるような内容です。

循環器をみている医師はもちろんですが、循環器を専門としない内科医師、研修医、医学生、看護師、薬剤師の方などにも是非読んでいただきたい書物です。

一般の方でもその病気に直面していて勉強している方には参考になると思います。


2016/12/5