学会・医療講演会・研究会で得られた情報をご紹介するコーナーです。
 

内科医も知っておきたい口腔粘膜疾患

 

歯科口腔外科の先生より多くのスライドを見せていただきながら、様々な口腔疾患について学ぶ機会を得ました。

 

今回と特に口腔内癌についての詳細な解説がありました。

 

口腔内癌には様々な種類があります。

舌癌、歯肉癌(上顎・下顎)、口腔底癌(口底癌)、頬膜上皮癌、硬口蓋癌などです。

このうち最も多いのは舌癌です。次いで歯肉癌・頬膜癌・口底癌が続き、硬口蓋癌は少ないです。
 

口腔癌は全癌の1-3%をしめます。ところがインドでは全癌の20-30%にも認められ、特に男性に多いです。その理由はかみタバコの週間や口腔内の不衛生があげられ、やはり、慢性炎症が癌の原因として大きな要因となっています。

飲酒者で5倍、喫煙者で7倍、両者を嗜好するものでは15倍の発症率です。
 

アフタと癌との鑑別としては、舌癌の場合、硬い硬結が触れること、そして2週間程度のケナログ塗布などによる治療で治癒しないときに疑われます。
 

口腔癌の初期は小さなアフタであったり、発赤のみでわかりにくいのですが、食道癌の診断と同じく、ヨードを散布するとそこだけ白く染色されないためわかりやすいです。
 

前癌病変と言われる白板症は1-5%が癌に変化するため注意が必要です。経過観察よりは切除が望ましいといえます。
 

歯肉癌は歯槽膿漏と診断され、抜歯された後に傷が治らずこじれてから診断されることが多いとのことです。パノラマ写真をしっかり評価すれば骨融解像がみられ、診断可能です。安易に抜歯してしまうと、診断の遅れのみでなく、病変が拡大したり、転移のリスクも高まるため、厳に慎まねばなりません。
 

歯槽膿漏的な症状に加えて、しびれなどの知覚鈍麻がある場合、開口障害がある場合は要注意です。パノラマ写真での骨融解像に加え、CTまで撮れば診断は可能です。
 

最悪の事態は、抜歯→治癒不全→掻爬→治癒不全でようやく専門施設へと紹介となり、かなり進行した状態で治療に難渋するという結末です。
 

そのほか、前癌病変としての扁平苔癬、内臓疾患からの転移、骨粗鬆症のビスホスホネート製剤による顎骨壊死、骨髄移植患者に生じるGVHD(移植されたリンパ球が生体を攻撃する)、カンジダ症、ヘルペス、天疱瘡、リウマチでメソトレキセート内服中の方に生じるMTX関連リンパ球増殖症など、多岐にわたる講演で大変勉強になりました。

 

2019/11/9 横浜にて

 

 

 

Cardiovascular Forum

 

    薬剤性消化管粘膜障害への対策

 

従来のPPI製剤に比しボノプラゾン(タケキャブ)は早く・強く・持続的に安定して胃酸抑制に働くことがわかっており、胃酸分泌をしっかりと抑制することができます。

 

胃食道逆流症においては初期からの酸分泌抑制が高い治癒率や再発抑制に影響します。

 

心筋梗塞や脳梗塞の予防にアスピリンなどの抗血栓薬が処方されますが、適切な胃酸分泌対策を行わないと薬剤性潰瘍出血などで重大な事態となることがあります。

 

出血のため抗血栓療法を中止した場合、出血のリスクは減りますが、脳梗塞の合併などにより死亡率は高くなることがわかっております。

 

また、急性心筋梗塞の際に出血の合併症を生じたものは、年間の死亡率が3%から20%に跳ね上がることがわかっております。これは出血により2次的にいろいろな臓器障害を生じたり、抗血栓療法の中止により心筋梗塞の再発が生じるためです。

 

心筋梗塞でステントを留置した場合には抗血栓療法は必須であり、その際の消化管出血予防にPPIの併用は是非とも必要とされております。

 

薬剤性消化管出血のほとんどはPPIによる予防がなされていなかったものであり、適切な予防対策がとられていれば出血はほとんど見られません。

 

また、内視鏡治療時・手術時の抗血栓薬の中止の是非については、高リスクのものでは休薬を要するが、低リスクのものは休薬なしでよいとわれています。

 

ワーファリンはDOACに変更すれば治療当日の休薬で対応できます。

 

以前に施行されていたヘパリンブリッジは術後出血が増えてしまい、現在は勧められておりませんので注意が必要です。

 

    遺伝性不整脈の最新のトピックス

QT延長症候群・Brugada症候群・早期再分極症候群などについての詳細なレクチャーでした。不整脈の一部はこのように遺伝子の異常により発症するものがあります。

若干、難しい話ではありますが、
若年者の突然死にこのようなものがあるということは知っておいた方がよいでしょう。

詳細な診断は循環器専門のうち、特に先天性不整脈について専門的に研究している超専門医でなされます。

 

QT延長症候群

QT
延長症候群はQT時間の延長、失神の既往および突然死の家族歴より診断されます。

水泳などの運動、睡眠中、目覚まし時計などの音刺激、妊娠時などに発症しやすいことがわかっています。

水泳教室での突然の死亡事故は患者家族・スポーツ施設双方に大変な不幸な出来事です。監視が不十分で溺れているのに気がつかなかった・初期蘇生が不適切だったというものだけではないのです。

遺伝子異常によるイオンチャンネルの異常が原因とされています。大きく3つの型に分類さえています。

女性ホルモンにQT時間を延ばす作用があるようで、成人ではほとんどが女性に発症します。ところが幼年期には男女同数で発症します。男性については成人後はあまり心配ないようです。

予防としては水泳やマラソンなどの運動を制限することが重要です。

また、目覚まし時計は危険であり、自然に目が覚めるようにする工夫が必要です。

治療には病型によりβブロッカーやメキシレチンが使用されます。


Brugada症候群

有名なBrugada症候群については、男性に多く、30-50歳の比較的若年の男性に睡眠中の突然死をおこすものです。いわゆる『ポックリ病』といわれるものに、Brugada症候群であったものが含まれていると考えられています。

診断は心電図によりなされ、1000人に1名程度が見つかりますが、そのうち心室細動などの致死的不整脈を生じるものは0.5-1%とされています。

致死的不整脈は心電図形態では1型(Coved type)に多いです。2型・3型(Saddle back)は比較的安全です。しかし、心電図を測定する位置を1肋間あげてとってみたり、サンリズムという薬剤を静注してとると、1型の心電図に変化することがあります。

突然死の危険があるものは睡眠時の心停止・心室細動・心室頻拍が見られたもの、夜間にうめいていることがある、引きつけのようになったことがある、失神の既往があるものなどです。また、突然死の家族歴があるものも危険です。

心室細動の既往・心停止の既往があるものは10%が再発するため、埋め込み型除細動器(ICD)の適応があります。

相対的適応としては失神の既往がある、家族歴がある、電気生理検査で容易に誘発されるもの、ポア領域遺伝子変異のあるものなどです。特に男性はリスクが高いです。

また、ICDの頻回作動は大変な不快感・恐怖につながりますので、その場合にはキニジンなどの抗不整脈薬で不整脈の発現を抑制する必要があります。

 

早期再分極症候群・J波症候群

この症候群では心電図にてQRS波の後ろにJ波と呼ばれるノッチが見られるます。

J波症候群は中年男性に多くみられ、心室細動から突然死をもたらす重篤な不整脈疾患です。

J波は健常人にも見られることがあり、危険群との層別化が大切です。

失神の既往および心臓突然死の家族歴の聴取が大切です。

また、J波の振幅の高い例、ホルター心電図でのJ波の日内変動、連結器の短い心室期外収縮・非持続性心室頻拍の有無の確認が必要です。

また、日をあたらためてのJ波の日差変動も見ていきます。

これらがなければ危険性は少なく精査の必要はありません。

植え込み型除細動器の明らかな適応は心室細動からの蘇生例のみです。

以上の話については、一般内科医レベルでは一部を除きほとんど理解されていない領域です。循環器の医師でも不整脈を得意とする医師が担当する領域です。

知っていないと痛い目に遭うかもしれません!!

ポックリ病の家族歴がある方は最低限心電図を受けましょう。

 

2019/10/31   海老名にて



クローン病Expert seminar
 
本邦において潰瘍性大腸炎は約22万人、クローン病は約7万人が存在し、いずれも近年急速に増えてきております。
 
潰瘍性大腸炎は再燃と寛解を繰り返すうちに、急性増悪の大量出血により内科的治療が困難となり緊急手術を要することがあります。
 
一方、クローン病は潰瘍→狭窄→瘻孔・膿瘍形成→手術→再狭窄→再手術というように複雑な経過をたどります。
 
いずれも治療目標としては症状の改善のみでなく、内視鏡的所見の改善→顕微鏡的所見の改善(粘膜治癒)→寛解状態(粘膜治癒)の長期持続です。複雑な合併症が生じないうちにしっかりとコントロールしていくことが必要です。
 
今回の講演はクローン病に対するバイオ製剤での治療についてです。
 
クローン病にはバイオ製剤が有効で、最近は早期からの導入がトレンドとなりつつあります。
 
レミケードは点滴静注の即効性の得られるバイオ製剤で、投与開始後数日で腹満などの症状が嘘のように改善してしまうことがあります。比較的症状の強いものが適応となります。
 
ただし、長期的には抗体の出現などにより、徐々に有効性が薄れて再燃してしまうことがあります。
 
ヒミュラは2週間ごとの皮下注射製剤で在宅自己注射の認可が得られています。効果発現はややゆっくりですが、簡便なことより社会人に需要が大きいといえます。
 
エンタイビオは腸管選択性の薬剤であり他の臓器に対する作用がないため安全性が高い薬剤です。効果発現は比較的ゆっくりであり、点滴製剤であることより、症状的に・時間的に余裕がある方によい適応となります。
 
ステラーラは免疫反応のさらに上流を遮断する薬剤で、レミケードを草刈りと例えると、根こそぎといえます。
 
初回治療は点滴静注が必要ですが、2回目は8週間後の皮下注射、以後は反応を見ながら8週から12週ごとの皮下注射となります。
 
12週ごとの根こそぎ治療で維持できるのであればすっきりしますね。
 
副作用が少なく、抗体ができにくいため、耐性が生じにくい(効果減弱が起こりにくい)という大きなメリットがあります。
 
特に他のバイオ製剤を使用していない状況のナイーブ症例で効果が大きいことがわかっています。
 
また、他のバイオ製剤で効果が減弱したものにも使用可能で有効です。
 
術後症例のバイオ製剤としても非常に有用性が高いです。
 
アザチオプリンなどの免疫調整剤の併用は必須ではありません。
 
有効性・安全性・長期的に効果が得られること、そして簡便性より非常に期待できるバイオ製剤といえます。
 
クローン病は狭窄・瘻孔・膿瘍などの合併症を生じると治療が非常に困難となります。
 
合併症の生じないうちに早期からのバイオ製剤の導入が望まれます。
 
クローン病治療にいては昭和はステロイドが主役でしたが、平成ではレミケードが時代を席巻しました。
 
そして令和はステラーラが主役の座を得たといえるでしょう。ダブルキャストとしてエンタイビオが期待できます。
 
また、ジョーカーとして症状悪化時にはゼンタコートという腸内に移行してから局所に作用するステロイド製剤もあります。
 
治療法の選択肢が豊富であり、大変ありがたいことですが、治療は適切に行っていかなければよい効果は得られません。それぞれの薬剤の特徴、長所・弱点がありますので、患者様の生活様式や希望に応じての適正治療が望まれます。
 
2019/10/29  横浜にて



 

湘南Diabetes Seminar

 

体液・電解質バランスや輸液の話など、生理学および薬理学の詳細な説明があり大変勉強になりました。

 

SGLT-2阻害薬は糖を尿へ排出する作用に伴い、水を体外に排出するため、従来の利尿薬とは異なる、マイルドな利尿剤としての働きがあります。

 

心不全の際は心拍出量が減り、腎血流が減少することにより、ナトリウムの再吸収が起こり、内臓の浮腫・臓器不全が生じるという悪循環に陥ります。

 

細胞内外から均等に水を引くため腎・肝・腸管などの内臓組織の浮腫が改善し、内臓機能・心機能が改善します。

 

SGLT-2阻害薬は腎血流の正常化、尿蛋白減少、レギン-アンギオテンシン系の抑制、心不全の抑制作用があります。

 

以上より糖尿病治療のファーストステップにSGLT-2阻害薬という選択肢が提示されました。

 

2019/10/28   藤沢にて




長期予後を見据えたB型肝炎の治療戦略

B型肝炎はC型肝炎に比し進行が速く40歳代など比較的若い年代で肝硬変への進展や発癌が見られます。

一方、肝機能の全く正常のB型肝炎ウイルスキャリアが多く存在し、これらの方たちは肝硬変への移行や肝癌発症のリスクが低く、治療の必要はないものの定期的な血液検査や腹部エコーなどの画像診断が必要です。多くの施設で6ヶ月ごとの観察がおこなわれています。

B型肝炎の治療薬には歴史の変遷を経ながら数種類の核酸アナログ製剤が存在します。これらは肝炎ウイルス増殖を測定限界以下に抑制する効果がありますが、多くの症例で中止すると再発してしまい、完全に治癒を望めるものではありません。
しかし、治療を継続していれば肝機能が正常に保たれ、肝硬変への進展や肝癌発症が抑制できます。

最新の薬剤である『ベムリディ』は従来薬剤に比し腎機能障害への配慮が不要で骨密度低下が生じない、また、ウイルスの耐性も生じにくいという点でメリットが大きいといえます。

今回の講演で私が注目したのはキャリアに対しての治療成績です。
B型肝炎ウイルスキャリアに対し核酸アナログ製剤を投与した研究では非投与群に比し投与群の方が肝癌発症が少なかったとのことです。

その理由としてはキャリアと診断されてはいても実際は慢性肝炎がじわじわと進行していた症例が含まれていたと考えられています。

その意味でキャリアと慢性肝炎をきちんと鑑別していく必要があり、定期検査が重要です。

ウイルス量の多いもの、HBs抗原の多いものは発癌リスクが高く要注意です。
AST>ALTの場合も要注意です。

肝炎の進展を示す指標にFib4インデックスという計算式があり、インターネットのサイトを利用すれば自己診断が可能です。FibとはFibrosis(線維化)をのことで肝硬変への移行を意味します。

Fib4インデックス計算式と検索してみてください。
年齢、AST、ALT、血小板数を入力すれば瞬時に数値が出ます。


Fib4インデックスが2.5以上の場合には要注意での経過観察ないしは治療導入が考慮されます。


2019/10/18  ホテルモントレ横浜にて




インフルエンザの重症化予防対策

インフルエンザワクチンには感染予防効果のみでなく、感染した場合の重症化を防ぐ働きがあります。

感染を完全に予防できるわけではありませんが、感染したとしても軽い症状ですみます。高齢者・基礎疾患を有する方・若年者・受験生などは積極的な接種が望まれます。

ワクチンを打っても感染したのでもう打たないということがないようにしましょう。

妊産婦の方が感染すると大変ですので、ワクチン接種が強く推奨されます。妊娠・授乳に際してのワクチン接種は問題ありません。

インフルエンザの重症合併症として肺炎・筋炎・脳症・多臓器不全・心筋障害などがあげられ、死亡例も多く存在します。

いまだにインフルエンザを軽く見ておられる方が非常に多いのには医療者としては大変不思議に思われます。

このような重症化の機序としては、インフルエンザウイルスそのものによる障害、細菌感染の二次感染、サイトカインストームなどが考えられています。

インフルエンザと判明したら早期からの抗インフルエンザ薬の投与が必要であり、たとえ迅速検査にて陰性であったとしても状況的に感染の可能性が濃厚であれば治療を開始してもよいことになっています。

重症化の予防対策として抗インフルエンザ薬に加えてクラリスロマイシンの併用投与が有効であったとのことです。

また、暴露後の発症予防にタミフルやリレンザを1日1回で10日間ほど継続することがあります。

慢性閉塞性肺疾患を有する方に感染してしまうと大変なことになるので、その家族に発症した場合にはそのほかの家族全体を予防した方がよいかもしれません。

65歳以上の高齢者に対しては今後4倍量の抗原を含むワクチンが導入されていく見込みです。

ワクチンを2回打つとよいかどうかについては、明確な証拠はないようです。

なお、インフルエンザ治療薬による危険な異常行動については明確な証拠がなく、インフルエンザそのものによる可能性があります。いずれにせよ若年者には慎重な観察が望まれます。


2019/10/17  崎陽軒会議室にて
 



Next symposium 2019 in Kanagawa

 

1.世界に挑戦する日本の内視鏡AI

 

内視鏡診断にもAIが利用される時代となってきました。

コンピューターに何十万枚という画像を学習させることにより、内視鏡観察中のリアルタイムに『ピロリ陽性95%』というようにピロリ菌感染の有無についての診断がなされます。

ピロリ菌感染については治療後のものも拾い上げてしまうため、過去の治療歴の有無など病歴を含めた判断が必要であり、最終的な確定診断は尿素呼気テストや便中抗原などの従来と同様の手法が必要です。しかし、これにより今後の胃癌発症リスクが推察され、年に1回の積極的検査の適応の目安となります。

 

胃癌や食道癌についても人間の目ではギリギリ難しい微細な変化まで瞬時に拾う上げ『早期胃癌80%』というような診断がなされ、次の段階の内視鏡的治療へと導かれます。

特に数mm大の微細病変の場合、確定診断ための生検を行ってしまうと内視鏡的切除の妨げとなることがあり、生検を行わずに完全生検としての内視鏡的切除を選択した方がよいのです。

 

早期癌の深達度診断についても可能となってきております。

 

この技術革新は内視鏡検査がAIに取って代わられるというものではありません。内視鏡医の診断とAIの診断との協調が必要です。

 

どんなに優れた内視鏡医であっても、微細病変については診断できないこともあります。このような『見落としとはいえない診断可能限界以下の病変』に対してもAI診断が可能であり、内視鏡検査の精度は大幅に改善されます。

 

内視鏡医がAIと対峙するのではなく、AIをうまく利用することにより、内視鏡医とAIのダブルチェックが可能となるのです。

 

なお、本講演では触れられておりませんが、大腸内視鏡検査では内視鏡検査において細胞レベルまでの超拡大観察が可能となってきており、内視鏡的顕微鏡検査も可能となっております。その際にもAI診断が利用されています。

 

2.令和でも重要な酸関連疾患の治療

 

酸関連疾患の代表は胃食道逆流症・逆流性食道炎であり、PPIが治療の主役であることは間違いありませんが、一部には十分に有効でない場合もあり、その場合にはPPIの種類を変える、倍量投与とする、分割投与とする、空腹時内服とするなどの工夫が必要です。

 

PPIは数種類存在しますが、代謝経路の違いにより、効きが違います。また、個人の体質により効かない薬があることもわかっております。

 

PPIは空腹時の方が吸収がよく、食前投与が望ましいとされています。

 

また、他疾患の鑑別が必要なこともあります。最近は好酸球性食道炎が注目されています。この場合は食道に立て溝が生じるなど特徴的な所見があり、PPIに局所ステロイドとして喘息に用いる吸入ステロイドを吸入して飲み込むという治療が行われています。

 

Functional dysplasia(FD;機能性胃腸症)も注目されており、症状による分類がなされ、もたれなどの機能的異常を主とするものと、痛みを主にするものとがあり、PPIも一部の症例で有効です。

 

また、ピロリ菌の関与もあり、除菌により改善することもあります。

これをHP associated dysplasia(HP関連ディスプレジア)といいます。

 

除菌は胃癌の発症抑制や内視鏡治療後の2次癌の発症予防効果があり、ピロリ感染が確定したら、確実に除菌を行い、除菌後も胃癌発症リスクはピロリ陰性者よりも高いため定期的な内視鏡検査が必要です。

 

なお、ピロリ菌の感染経路はこれまでは幼少期に母親から感染したとされていましたが、近年の感染経路としては逆流性食道炎を有するパートナーとの接吻などの濃厚接触によるものが推察されております。その意味でも逆流性食道炎およびピロリ感染は適切に治療することが望まれます。

 

2019/10/16  横浜ベイシェラトンにて




Kanagawa Summit  New era of Stroke prevention
 
1.虚血性心疾患合併AF患者の治療戦略

 
虚血性心疾患に対し冠動脈ステントが施行されると、ステント内血栓症の予防のため抗血小板薬2剤が半年から1年併用されます。その後、再狭窄や新規病変がないことが確認されるとバイアスピリン単剤に変更されます。
 
一方、心房細動に対しては脳塞栓症のリスクが高いと判断される場合に抗凝固療法が必要になります。かつてはワーファリンが用いられましたが、治療効果の確認・調整に血液検査が必要であったり、納豆などビタミンKを含む食品摂取の制限があったり、効果や安全性の面から最近ではDOAC(直接経口抗凝固薬)が使用されるようになっています。
 
抗血小板薬は血流の速い動脈に、抗凝固薬は血流の遅い静脈に使用されると考えてください。
 
かねてから問題とされてきたのは、虚血性心疾患で抗血小板薬2剤が用いられているものに心房細動が発症し、抗凝固薬を加えた3剤療法になってしまうことです。心房細動患者にステントが必要となった時も同じです。
 
3剤療法の長期継続は出血のリスクが極めて高くなり、極力短期間とするようになってきています。
 
すなわち最初の1ヶ月間は気をつけながら3剤を使用するが2ヶ月目からはDOACにクロピドグレル(プラビックス)の2剤とするのが、勧められており、さらに1年後からはDOAC単剤とすることも検討・実施されております。
 
また、DOACには減量基準が存在しますが、出血を恐れて減量基準を守らずに減量して処方する医師がかなり存在することがわかっています。
 
不適切に減量されたDOACは十分な有効血中濃度が得られず脳塞栓症のリスクが高くなりますので、減量基準をきちんと確認し守ることが推奨されています。
 
2.二次予防から診た脳卒中診療
 
臨床現場では原因不明の脳塞栓症がしばしばみられます。
脳塞栓症とは脳梗塞の一種ですが大きな血栓がドンと詰まるもので重症の脳梗塞を発症します。その多くは心房細動により心臓の左心房によどんだ血液の塊が血栓となり脳に飛んでいきなり脳の太い血管を閉塞してしまうものです。長嶋茂雄さんが罹患した疾患なので一般の方にも比較的認知されています。
 
最近のカテーテル治療の進歩は著しく、脳塞栓症で救急搬送された場合、優秀な施設に搬送された場合には、カテーテル用いて血栓を除去してくれるので、麻痺などの障害を残さずに治癒することも多くなりました。
 
その原因の多くは心房細動であり、今後の予防として抗凝固療法が開始されます。
 
しかしながら、心房細動が見られない患者さんもみられ、潜因性脳梗塞とかESUS(Embolic stroke undetermined sauce)といわれます。
 
この場合、血栓の原因について24時間図を繰り返したり心エコーなどで精査していきますが、なかなか発見できないこともあります。
 
近年開発された皮下植え込み型心電図は非常に簡単な手技で超小型の心電図を前胸部の皮下に植え込んで長期にわたり、診断をするとこができます。
 
これにより心房細動が発見された場合には抗凝固療法のみでなくアブレーションという根治的な治療法が選択されます。
 
また皮下植え込み型心電図は原因不明の失神の原因としての不整脈診断にも大きな役割を果たします。
 
技術的にも外来でできる手技であり対応可能な施設が増えてきております。

 

3.多様化する心房細動患者のそのゆくえ
 

心房細動の重大な合併症である脳塞栓症の発症リスクは、心不全(1点)、高血圧(1点)、年齢(75歳以上で1点))、糖尿病(1点)、脳梗塞の既往(2点)の有無により増多していき、2点以上スのスコアにて抗凝固療法の積極的適応となるとされてきました。


0-1点のスコアでは脳塞栓症の発症が1%未満であるため治療の有益性があまりありません。


しかしながら、これら危険因子の定義に関しては不明確な部分があります。


心不全では拍出量の低下したものほどリスクとなりますが、心拍出が保たれている心不全(HFpEF)はリスクとはなりません。


高血圧の病名があってもきちんとコントロールされている場合にはリスクとなりません。


糖尿病の場合、食事療法のみの軽症者からインスリンを要するような重症者まで、その定義自体が曖昧ですが、3年以上罹患したものでなければリスクとなりません。


初診時のスコアにて治療の適否を判定しておりますが、治療によりスコアが下がる場合もあれば、年齢が上がるほどにスコアが上がりリスクが増していきますが、再評価がきちんとされているとは限りません。


治療は脳塞栓症の発症と治療に伴う出血合併症のバランスにより、メリットをよく考えて行う必要があります。


また、高齢化により心血管病以外の死亡が多くなり、脳卒中や出血による死亡割合が減ってきます。認知症の合併、感染症、転倒なども多くなり、癌死、心不全、感染が主な死因となってきます。


死亡リスクの検討では年齢(75歳以上)、腎機能低下、癌の合併が大きな要素となってきます。


そのうち腎機能の低下はeGFRで評価されますが、認知症の合併やフレイルの進行などと関与しており、eGFR30%以下となると全死亡および非血管死の割合が急激に増えてきます。


eGFR60以下ではアブレーションの成績が低下し、40以下ではほぼダメです。


eGFRはその絶対値のみでなく、低下速度が生命予後に影響してきます。
 

これらを踏まえ

eGFR60以上ではアブレーションを積極的に考慮する。

eGFR45-60では脳卒中・心不全の割合が増える。

eGFR30-45では超高齢者が多く非血管イベントや大出血イベントが増える、そのため抗凝固療法や抗血小板薬との併用には慎重となる。

eGFR30以下ではイベントがイベントを呼ぶドミノにおちいり予後はきわめて不良であり、治療群の方がむしろ脳卒中・出血のいずれもが多かったとのことです。



DOACの減量群については死亡率が高く、しかも非血管死が多いことがわかっています。

DOACは減量基準をきちんと守らないと、有効な血中濃度が得られず危険なのですが、それでも減量されているのは担当医が減量して処方したくなるような病状の悪い患者であったという意味合いもあります。


以上のことを踏まえて抗凝固療法の適応やアブレーションの適応を考えていく必要があり、心血管病以外の様々な合併症に注意していく必要があります。


eGFRは患者の生命予後を予測する非常に有用な指標であり、臨床医はこの指標をしっかりと利用しながら、心房細動をみていくことが望まれます。


以上の詳細な内容については『CKD冒険記』という本に詳しく記載されています。

 

2019/10/8  横浜ベイシェラトンにて





『遺伝腎疾患を考える会』
エビデンスと経験に基づいたADPKD診療
-実臨床でのトルバプタンの使い方-


ADPKDとは常染色体優性多発性嚢胞腎のことで、PKD遺伝子の異常により子供に1/2の確率で遺伝します。本邦には約31000人の患者がいると推定されています。

自覚症状はなく検診などで受けた腹部エコーにて両腎に嚢胞が多発していることより診断されます。
長期的に嚢胞の数が増え、大きくなり、腎臓全体も増大していきます。

合併症として高血圧、嚢胞の増大に伴う腎機能低下、嚢胞感染、嚢胞内出血、尿路結石の合併による腹痛・血尿などがみられます。また、10%に脳動脈瘤が合併します。

これまでは治療法として血圧のコントロール、減塩、水分を多めに摂取する、合併症に対する対処などしかありませんでした。
40歳で腎機能が低下していき、70歳で50%が人工透析にいたるという経過をたどりました。

発症機序として抗利尿ホルモンであるADHがC-AMPを増多させ嚢胞内分泌を増やし、嚢胞細胞の増殖を増進することがわかってきました。

ADH阻害薬であるトルバプタン『
サムスカ』が病気の進展抑制に効くことが証明され、容量依存的に腎機能の低下を遅らせることがわかってきました。

問題点としてサムスカを服用すると大量の尿が出るため、容量を増やしていくことに耐えられず服薬を中止してしまうことがあります。

そこで服用に際しては十分な説明を行うとともに、容量増多に耐えられないときは、少量ずつ服薬料を増やしていくことが提案され、実際にうまくいっています。

その他の悪化要因として肥満があげられ、過食を避けることも大切とのことです。

嚢胞腎は難治性疾患であり、いまだ完治が得られるものではありませんが、治療法の進歩は大きな福音といえます。

2019/10/4  小田急センチュリー相模大野にて




『Takeda Diabetes Academy 2019』

糖尿病患者さんの健康寿命延伸におけるかかりつけ医の役割

病診連携の実践事業の報告、かかりつけ医により運動・食事療法、Clinical inertiaなどについて、熱心な討議が行われました。

当院としても日頃から取り組んでいることなので、大きく目新しいことはありませんでしたが、参考になる部分もありました。

1.尿中アルブミン陽性、eGFR(腎機能)の低下、eGFR年間低下速度が予後に大きく関わる。

これについては『お勧め書籍』のコーナーで山下武先生のCKD冒険記の紹介でも記載いたしました。

2.日本で定期的に尿中アルブミン測定を行っている施設が20%でしかない!
糖尿病専門といわれている施設でも50%!!

これはホンマかいなと思いました。当院ではほぼ全例で半年に1回は測定・評価して診療に役立てています。
ちよっと値段が張りますが、きちんと継続していきましよう。

3.日本における糖尿病診療の質は世界に比し、極めて高い!

重症例を除いては、HbA1cの7%以下の達成がかなり得られています。諸外国では10%ですね、これでは合併症は避けられません。
諸外国では健康保険の不備から十分な評価が受けられなかったり、必要な薬が処方できないなど、様々な制約があります。皆保険制度のおかげで日本人の健康は守られています。ありがたいことですね。

4.運動療法にはテニスが優れている!

ヘボですがテニス大好きの私には大変うれしい結果でした。
テニスはワイワイ楽しくがよいですね。

テニスは9.7年も寿命が伸びるのです。私の所属しているクラブでもアラ80でハードヒット、ドロップショット、ロブを縦横無尽に繰り出し、しかもネット際のドロップショットを猛烈ダッシュでひろい、究極のアングルに決めるなんて普通です!私はタジタジになります。

仲間と切磋琢磨してワイワイやるのがいいようですね、戦略的にも頭を使いますし、カウントも間違えないようにしなければなりません。部屋にこもっての自主トレ・筋トレではこれほどの効果は得られません。

5.平均余命についての検討では40歳の方の糖尿病の平均余命は健常人とかわらない!

うれしい結果ですね、きちんと通院を続け、医師のアドバイスを受けて実践していけば、いろいろな合併症に苦しむことなく、健康な生活ができるんですね。

6.体重コントロールの指標としてBMI22は適切でない!

これは私も以前から考えており、患者さんにもまずは23-24程度を狙いましょうとお話ししています。

私は170cmでBMI 22にて計算すると理想体重は64kgになります。かつてダイエットして64kgまで落としたことがありますが、筋肉が落ちてしまい、体力も落ちて不健康な状態となりました。
BMIは身長から割り出すのですが、細身で運動せず筋肉がない方と、骨太で筋肉が多く、しっかり運動している方では、理想体重が同じということはないことは、自明の理です。当然、摂取カロリーにも差がついてきます。

また、あまり歩けないという方の運動指導については、まず、1時間に1回は立ち上がること、そして3-4回でいいから軽いスクワットをするように指導しています。
30分やれとか100回やれとかいうから運動が続かないのです。
1時間に一度のわずかな運動、腕や肩のストレッチ、両下肢の貧乏揺すり、両膝を両腕で外から押さえながら、足を開こうとしたり、膝の内側にビニールボールを挟んで足を絞める、浮かした膝のうえから手で押さえてまり突きのよう上下に動かすなど座ってできるこまめな運動を繰り返すことが大事だと考えています。

7.理想カロリーの設定

上記より患者さんの体格や現在の体重を元に目標体重を設定していくのがよいでしょう。
身長とBMI 22の指数から、理想体重・適正カロリーを算出するやり方はもはや古いのです。

軽い労作   目標体重×25-30kcal(座ってばかりの場合)
普通の労作              ×30-35kcal(事務の仕事、主に座位)
重い労作                 ×35- kcal(肉体労働・営業外回り)

かつてプロレスラー並みの体格の方が入院され、私は2200kcalのオーダーを出しましたが、栄養室では1800kcal以上の食事を出したことがないとのことでした。いくら糖尿病といっても体格が違うのだから1800では全く足りません。しかし、私のいない間におバカな医師が1800にオーダーを書き換えてしまいました。
こんなことすると筋肉がエネルギーとして利用されてしまうため、体が弱ってしまうのです。糖尿病といえども適正なカロリーは必要です。

8.野菜から食べる?理想であるが難しい!!

まず野菜を食べて、魚や肉を食べて、最後に炭水化物を食べれば食後の急激な血糖上昇が抑えられます。
これは野菜好きの人にはよいですが、高齢者にはかなり厳しいです。ご高齢の方、生野菜たっぷりなんて無理ですよね。
私の指導としてはまずおかずからゆっくりと食べましょう。おなかが落ち着いてきたらご飯はやや少なめによくかんで食べてくださいねとお話しします。

9.糖質制限について

糖質制限もはやっております。若くて肥満型の方にはよいですが、お年寄りには適しません。筋肉がエネルギーとして利用されてしまうため、体が弱ってしまいます。フレイルの原因となってしまいます。糖質制限はほどほどにというのが正解です。
ただし、饅頭やお汁粉を飲んでしまえば一気に血糖は上がります。何でもかんでもダメというのもかわいそう、時々であればよいでしょう。夫婦で半分ずつ楽しみましょう。夫婦円満、多少の寿命延長よりもいいんでないでしょうか?

また、高齢者の糖尿病性腎症の治療においてもあまりに厳しくすると栄養障害に陥り、かえって寿命がちじむことが危惧されています。なんでも一律でなく、個々の条件を考えほどほどに適切にというのが正解と考えています。


10.Inertiaという問題があり、医学界では流行の言葉です。

本当はこうした方がいいんだけどなとおもいつつ、『ほっといてくれ』てきな患者さんには、時間をかけて話をする意欲を失います。本人は『薬なんか飲まないぞ』と決めているのですから、どうにもなりません。
薬の増量・変更にも強い抵抗を示されます。ましてやインスリン導入など、まだまだ壁が高いです。
こうした患者さんにどう対応していくか、なかなか難しい問題です。

11.治療法の選択はメトホルミンがファーストチョイスとはかぎらない!

欧米では医療費も問題や肥満が多いということもあり治療のファーストステップはメトホルミンとなっています。確かにメトホルミンはいい薬ですが、あらゆる選択肢が許されている本邦においては患者の病態、病状の進展具合、基礎疾患などを考慮して、ベストの治療を選択していくことができます。


日本ではDPP-4阻害薬が選択されることが多いです。
値段は高めですが、マイルドな血糖降下作用を有し、低血糖の危険が少なく安全性が高いという点で好まれています。
心臓病にはGLP-1製剤やSGLT-2阻害剤です。
心不全には迷わずSGLT-2阻害剤です。糖質を尿に出してカロリーカットをする薬ですが、尿量が多くなりナトリウムも排出されますので、心臓病にはちょうどよいのです。マイルドな利尿剤としての働きがあり、ラシックスのように一気に尿を出して脱水にしたり低ナトリウム、低カリウムになるということもないので安全に長期的に使用可能で心不全の予後を改善します。そのような理由から循環器科の先生からの処方が増えています。

これからの糖尿病治療はますます進歩してまいります。
糖尿病患者さんが健常人を同じように生活し、余命を全うできる人生を目指せるよう、お手伝いしていていきたいと考えています。

2019/9/29  ヒルトン福岡シーホークにて




『神奈川Ulcerative colitis Conference』
潰瘍性大腸炎に対する生物学的製剤の位置付け


かつて潰瘍性大腸炎の治療薬はサラゾピリンとステロイドしかなく、そのさじ加減のみにて治療がなされており、難治例には大腸全摘術が必要でした。

現在は治療法が大きく進歩し、特に有効性の高いバイオ製剤が複数登場し、バイオ戦国時代といってもよい状況となっています。その導入と選択には非常に悩まされますが、多くの選択肢があるということはうれしい悩みともいえます。

レミケードは最初に登場したもので、導入時の切れの良さには定評があります。維持期には8週間ごとの点滴静注を要し、やや手間がかかるといえます。

ヒュミラは2週間ごとの皮下注射で、自己注射が認められていることより、医師にとっては扱いやすいといえます。

シンポニーはこれら2剤の中間的な薬剤であり、4週間ごとの皮下注射です。
完全ヒト型モノクローナル抗体であることより薬剤に対する抗体ができにくく、長期的な効果が得られ、免疫調整剤であるアザチオプリンの併用を必要としないなどメリットが大きいといえます。

その他のバイオ製剤も含めて患者様の病態と生活様式に合わせての薬剤選択が治療成功の鍵となるといえるでしょう。

2019/9/26  横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて







『クローン病の新規治療を考える』                                          
                                                     

クローン病の治療法の選択肢として消化管粘膜での炎症を選択的に抑制するエンタイビオの有効性が示されました。

長期的に有効であること副作用の少ないことより、ステロイド剤を使用しても寛解が得られない症例に対し積極的な導入の有効性が示唆されました。

野球に例えると

パンチ力がある  ホームラン
安定性       打率
長期の安定性   後半に失速しない
安全性       安心してみていられる

先発完投型の二刀流!
なんといいことばかりではないですか!!

難治性クローン病の治療法には様々なバイオ製剤があり、その選択には臨床医もかなり悩んでおります。

個々の症例に応じての患者個別の治療法の選択が望まれます。

2019/9/18  ヨコマグランドインターコンチネンタルホテルにて





『肺がん画像診断セミナー』                                          
                                                     

単純レントゲン診断から始まり、CT、PET、病理までその画像の成り立ち、読影方法について学びます。

講義とグループに分かれての読影実習の繰り返し、寺子屋形式での研修に2日間どっぷりとつかってまいりました。

わずかにうつる微細な影が肺がんの始まりであることが多く、さらに多数の見逃し例の検討もあり、知ってしまうと診療を続けていくことが怖くなってしまうくらいの内容でした。
なかなか学ぶ機会のない肺がん病理についても勉強させていただきました。

もともとは呼吸器科のスペシャリストを目指す若手医師のためのものと思われ、私のような者が参加してよいものかという思いもありましたが、70歳代後半の有名な先生も参加して謙虚に学んでおられました。やはり医学道は学びの継続だなとあらためて感じました。

2019/9/15-16  新横浜プリンスホテルにて




 



『Expert Meeting 2019 in Yokohama』                                            
                                                     

糖尿病の最適治療に関するパネルディスカッションに参加しました。
GLP-1製剤とインスリン治療が主題でした。
要点は以下のようでGLP-1製剤の有用性が示されました。

既存治療が効果不十分の時、インスリン導入前にGLP-1製剤を試みる。

血糖降下作用を同等に認め、体重を減らせる、低血糖が少ないなどの点でメリットが大きい。

DPP-4阻害薬が無効となったときの切り替えにも有効。

DaylyとWeekly製剤との間で効果の差はなく、Weekly製剤で十分な効果が得られるという点で、利便性が高いといえる。

2019/9/7  新横浜国際ホテルにて

『シンポニー潰瘍性大腸炎効能追加講演会』                                            
                                                     


横浜市立大学付属市民総合医療センター     
国崎玲子 先生


潰瘍性大腸炎に対する3番目のバイオ製剤としてシンポニーが承認されました。
シンポニーの特徴は製剤に対する抗体ができにくいことであり、従来のレミケードなどにみられた2次無効の発症が減少しています。
投与法は初回200㎎、2週後に100㎎、以後は4週間ごとに皮下注射していきます。
投与初期に大量の投与ができるため早く病状を改善させ、その後の継続投与により病気の寛解を維持できます。
薬剤のローディングにより早期に効果が得られ、抗体産生が少ないことにより
長期的に寛解が維持できる、そのため治療の継続率が良いなど、これまでのバイオ製剤を凌駕する利点がみられています。
レミケードやヒュミラの2次無効に際しても薬剤の変更により効果が得られます。
大変期待が大きいバイオ製剤といえます。


2017/9/7 横浜ベイシェラトンにて

『腰痛疾患、診断と治療の実際』                                            
                                                      藤沢市民病院整形外科 國谷 洋 先生


腰痛の鑑別診断と診断の実際について詳しく解説していただきました。
大変勉強になりました。
腰痛治療のおけるリリカの有用性についても説明がありました。

腰痛を訴える患者さんは非常に多いためすべての患者さんを整形外科に丸投げにするということはできません。
当院では可能な範囲で腰痛治療にも取り組んでおり、湘南藤沢徳洲会病院の脊椎外科の江原先生と提携して治療にあたっております。

2017/7/26 内科医のための腰痛診療セミナーにて

『SGLT-2阻害薬時代に入りつつある糖尿病治療の最適化~CGMの知見も含めて』                                            
                                                      東京慈恵会医科大学 西村理明 先生


西村理明先生はCGMの第一人者です。
今回はSGLT-2阻害薬の臨床的有用性とともに血糖変動の特性、特に食後高血糖のとらえ方について詳細な説明がありました。
血糖採血を毎回空腹で行われている医療機関はまだまだ多いのではないでしょうか?
空腹時の血糖値が100前後でも食後の血糖値が200程度まで急上昇している例がよくあります。これを食後高血糖と呼びますが、長期的な心筋梗塞や脳血管障害の発症は糖尿病と同様に高いことがわかっており、食後高血糖をしっかりと診断して治療していくことが重要となっています。
そのための簡単な方法として、受診の際の食事制限はしないで、ときには空腹時もよいですが、食後1時間、2時間、3時間など時間をずらして採血していただくことが大切となります。自己血糖測定をしている方についても、この0-1-2-3が重要なのです。

私は30年以上前から食後血糖測定の重要性について提言し実行してきましたが、かつての勤務先ではなかなか受け入れられませんでした。近年になりようやく、食後血糖測定の重要性が認知されるようになったわけです。当院では当然のことながら採血時の食事制限はしておりません。当初は患者さんに不信に思われることもありましたが、現在、当院においてはきちんと受け入れられております。

2017/7/21 海老名内科フォーラムにて

『心房細動治療イノベーション:生命予後改善と寝たきり防止をめざして』
済生会熊本病院心臓血管セ ンター 奥村 謙 先生


心房細動に対する治療の目標は突然死や心不全などの生命予後の改善と心源性脳塞栓症による片麻痺や寝たきりになるなどの機能予後を改善する役割があります。

心房細動に関しては脳塞栓症の予防が非常に強調されておりますが、死因となるのは突然死、不整脈死、心不全など心疾患によるものが多いのです。
心臓死の増悪因子としては古くから使われているジゴキシンがあげられます。
一方、改善因子としてはβブロッカーの使用が認められています。
心拍数の適切なコントロールが心不全の予防に重要とされています。

脳塞栓症の予防としては古くからワルファリンが使用されてきましたが、治療が不十分な場合、かえって脳塞栓症の発症リスクが大きくなるのでINRの適切なコントロールが求められています。非専門医による治療ではワルファリンを少なめに投与されていることが多く注意喚起がなされています。

DOACはワルファリンに比し、脳塞栓症の発症が、少なくなり、出血のリスクも少ないとこと、血液検査による薬剤有効量のモニターが不要なこと、納豆や野菜の摂取制限がないことなど、いいことずくめと考えられています。

しかしながら、90歳近い超高齢者や低体重の患者さんに対し適切に治療できているかどうかは疑問です。出血のリスクを減らすために、1/2量あるいは1/4量の投与が検討されています。

2017/7/13 ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルにて

『大腸腫瘍に対する内視鏡診断の実際と最近の話題』
東京医療センター 浦岡 俊夫 先生


大腸腫瘍に対する拡大観察やNBIを用いた観察における診断のポイントを明快にご講演いただきました。
本邦においては特に形態診断における分類が得意で世界の最先端をいっております
。大腸内視鏡検査における拡大観察やNBI観察はもはやあるべきものとなっております。

2017/7/4 南神奈川腸疾患カンファレンス 鶴ケ岡会館にて

『今こそ確認!IBD診療の最新治療ABC~内視鏡診断から治療まで』
横浜市立大学付属市民総合医療センター 国崎 玲子 先生


非常に広範囲な話題をわかりやすく解説していただきました。
特に内視鏡診断の難しい類縁疾患および炎症性腸疾患に合併する癌の特徴について詳しくご講演いただきました。

2017/6/14 ホテルサンライフガーデンにて

藤沢プライマリケア医のための精神医学勉強会
Psychiatry In Primary Care(PIPC)    信愛クリニック 井出広幸先生


PIPCはプライマリケア医が適切な精神科的対応ができるように知識やスキルを提供するプログラムで、井出先生が10年前から全国展開して発展してきたものです。

私は10年前に朝から晩まで缶詰め状態でプログラムを受けました。

今回、久しぶりに参加させていただきましたが、主に湘南藤沢徳洲会病院の初期研修医を対象に楽しくレクチャーが行われました。

医学的に説明のつかない症状の多くは精神疾患に基づくものです。

診療医学的なアプローチ、診断と治療のポイント、専門医への紹介のタイミングなど、大変勉強になりました。

湘南藤沢徳洲会病院、湘南鎌倉総合病院などで定期的に開催されておりますので、是非参加されることをお勧めいたします。

2017/6/8  湘南藤沢徳洲会病院にて



 

潰瘍性大腸炎に対する新しい治療ストラテジー
慶應大学 緒方 晴彦 先生 


潰瘍性大腸炎の疫学から診断と最新治療に至るまで、広範囲のお話でした。

潰瘍性大腸炎は寛解と増悪を繰り返す難病ですが、適切な治療を行うことにより、再発率が下がり、手術を要する例は激減しています。

適正な初期治療により粘膜治癒を達成し、さらに適正な治療の継続により寛解が維持できます。

メサラジン製剤は従来のペンタサ、アサコールに加えて、リアルダが登場しました。

ペンタサは時間依存性で小腸から大腸まで広範囲に薬剤の分布がはかられます。
アサコールはpH依存性で大腸に高濃度の薬剤を分布させるデリバリーの異なる薬剤です。
いずれも高濃度のメサラジンを大腸に分布させるための工夫がなされています。

リアルダはこの両者の特性をあわせもったもので、薬剤を大腸に運んでから、徐々に大腸全体へ高濃度のメサラジンを分布させることができます。

しかも増悪時は4800㎎の高容量での投与が可能、1日1回の内服で有効などメリットが大きく、効果の面でも他の2剤をしのいでいます。(最大量はペンタサは4000mg、アサコールは3600mg)

しかしながら、薬剤が大きいのが弱点で飲みにくいかもしれません。
冷所保存ということになっておりますが、極端な高温でない限り問題はないとのことでした。

免疫調整薬のイムランは1%に白血球が減少する副作用がありますが、25㎎からの少量から開始して、2週間ごとの血液検査を行いつつ50-100mgまで増量していけば、安全・有効に使用可能です。
イムランの副作用には遺伝子の変異が関与することがわかってます。

バイオ製剤としてはレミケード、ヒュムラに加えて、シンポニーが加わりました。

リンパ球の消化管細胞への浸潤を抑制するベドリズマブも大変効果が期待できます。

その他にも新薬が開発中でますます治療の選択肢が広がっていくものと期待されます。

妊娠・出産・授乳についてのデスカッションもおこなわれましたが、適正な治療が優先され、服薬したままの妊娠・出産・授乳は
大きな問題にはならないとのお話でした。
念のためイムランは妊娠24週までは休薬する方針とのことですが、継続している専門医も多くおられます。


2017/6/7  SKY消化管研究会講演会 湘南クリスタルホテルにて




 
 


DPP-4阻害薬の特性について考える


DPP-4阻害薬は 本邦の糖尿病患者さんの70%に処方されており、第一選択薬としての地位を確立しています。今回、ご紹介するトラゼンタを初めとして、テネリア、ネシーナ、ジャヌビア(グラクティブ)、エクア、スイニー、ザファテック、マリゼブなどがあります。

いずれの薬剤も食後の高血糖を抑える、血糖変動を抑える、単剤では低血糖をきたすことがない、多剤との併用がしやすい、副作用がほとんどなく安全性が極めて高い、特に日本人には効きやすいなど素晴らしい特性を有しています。

これらの薬剤は1日2回内服、1日1回内服、週に1回内服など利便性において差があります。

また、腎機能障害がある場合、肝機能障害がある場合に使用しにくい、いわゆる慎重投与、透析患者さんにおける禁忌など使用上の制限が異なります。

トラゼンタは肝腎での代謝経路が存在するため、これらの制限がない点で利便性が高いといえます。

これらの薬剤において治療効果や安全性の面において差があるのでしょうか?

食後血糖の低下作用、HbA1cの低下作用、安全性の面で差がないことが、様々な研究から明らかとなってきました。長期的な心血管病の抑制についても差はないとのことです。

次の演題はアクタキサンチンに関するものでした。アクタキサンチンは鮭の赤い身やエビの殻などに多く含まれており、ビタミンEの500倍の抗酸化作用があるといわれています。抗酸化作用とは簡単に言うといろいろなストレスから細胞を守り、動脈硬化や老化を防ぐ作用と理解していただくとよいと思います。

トラゼンタの基本構造がキサンチン骨格を有するため、抗酸化作用について優れているのではないかとの研究がなされています。

特にマクロファージという白血球による炎症を抑制する、GLP-1を上昇させる、血中・脂肪組織・肝臓においてDPP-4活性を抑制することにより、炎症を抑えインスリン抵抗性を改善すると分かってきました。

近年、関心が高まっている非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の炎症・線維化を抑制し、肝硬変への移行や肝細胞がんの発症抑制にも寄与する可能性があります。

糖尿病とNASHは併発することが多いので、一石二鳥の有効な薬剤といえます。

高齢者では潜在的に腎機能が低下していることも多いので、高齢者にもトラゼンタは使用しやすい薬剤です。

肝機能・腎機能を気にすることなく、同じ容量で投与可能なトラゼンタは、高齢者の糖尿病が激増している本邦において今後、大きな役割を果たすであろうと期待されます。

上記の情報は前半は北海道大学の中村昭伸先生、後半は金沢大学の太田嗣人先生によるものです。

2017/6/4  ヒルトン東京お台場にて



 
 


高齢者心不全診療を考える  何を診てどう考えるべきか
日本医科大学  佐藤 直樹 先生


超高齢化社会を迎え高齢者の心不全が急増しています。
心不全の予後は極めて不良であり、再発・再入院を繰り返します。
もちろん死因としても大きなウエイトをしめています。

心不全の診療にあたり覚えておくべきこと8項目が示されました。
1、心不全の予後は極めて不良
2、高血圧の管理が重要
3、心筋梗塞後の適正な心筋保護が必要
4、心不全にはさまざまな原因がある(血管・心筋・心膜・伝道系など)
5、隠れ心不全に注意(息切れ、だるさ、むくみなど)
6、心不全には段階があり、早期診断と適正治療が重要
7、もしつらくなってきたら、時間との勝負になる(急激に重症化する)
8、適正治療(減塩・リハビリ・ADLの維持・適正な薬剤の選択と継続)

そして、将来の悪化について予測と告知を行い、ケアプランについてきちんと話し合うことが重要とのお話でした。

2017/6/1 Premium Conference in Yokohama  ホテルニューグランドにて