呼吸器疾患についてのコーナーです。



肺炎球菌ワクチンによる肺炎予防について
 

 

肺炎球菌ワクチンが65歳以上の高齢者に推奨されています。

ワクチンの接種により感染が予防できるのみでなく感染した場合には重症化を抑制できるなどのメリットがあります。
 

ワクチンには沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13:プレベナー13)と23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV:ニューモバックスNP)の2種類があります。
 

プレベナーはすでに新生児の肺炎球菌性髄膜炎の予防に大きな力を発揮しております。新生児にも打てるのですから安全性は高いといえます。
 

ニューモバックスは65歳以上の方に公費補助のもと接種がおこなわれており、すでに接種を受けた方も多くおられます。
 

プレベナーはT細胞を介して高い免疫応答を誘導し免疫記憶を確立する、新しい作用機序を有する肺炎球菌結合型ワクチンです。
 

一方のニューモバックスも非常に有効なワクチンですが、5年で効力が切れてしまい、5年後に2回目のニューモバックスを追加しても十分な免疫が得られません。
 

したがってプレベナー→ニューモバックスの順にワクチンを接種した方が、より効率的に強力な免疫が得られることがわかっています。

 

実際にプレベナーを接種して1年後にニューモバックスを追加すると、抗体価の上昇が確認されています。

 

すでにニューモバックスの接種がすんでいる方については、1年経過したところでプレベナーを追加して、さらに初回のニューモバックスから5年をあけて2回目のニューモバックスを接種するのがよいとされております。
 

肺炎球菌ワクチンをうまく接種することにより、より有効な効果が得られ、肺炎の発症および重症化が抑制されます。
 

以上の投与法については、米国予防接種諮問委員会、日本感染症学会・日本呼吸器病学会合同委員会で推奨されております。
 

本邦の行政ではニューモバックスの単独投与のみを公費負担として後押ししている形となっておりますので、プレベナー→ニューモバックスの連続接種は普及しておらず、一部の専門性の高いクリニックでのみ、実践されております。
 

当院では最良の医療を目指しており、肺炎球菌ワクチンにおきましても、プレベナー→ニューモバックスの連続接種を実践しております。

 

 

咳が長引く方へ

風邪を引いた後や季節の変わり目などに咳が長引くことがありませんか?
咳は大変苦しいですし、日常生活や仕事においても大きな支障となります。

咳の分類
1.急性咳嗽 3週間以内
2.遷延性咳嗽 3-8週間
3.慢性咳嗽 8週間以上続く咳嗽

急性咳嗽のほとんどはウイルス感染に伴うものであり、自然治癒しますので抗生物質の必要はありません。
風邪で受診して2-3日分の抗生物質を処方されている例がよく見受けられますが、これはナンセンスです。

咳が長引いて汚い痰が出るようですと、気管支炎の合併と考えられます。

また、後鼻漏といって喉の上から膿汁がおりて汚い膿性の痰としてはき出されるような場合は、副鼻腔炎に伴うものの可能性があります。これは
副鼻腔気管支症候群といわれ、慢性副鼻腔炎による膿性鼻汁が肺におりてしまい、長期的には肺の破壊性変化を生じてしまうため注意が必要です。

アレルギー的な機序の慢性咳嗽に『咳喘息』と『アトピー咳嗽』
があげられます。咳喘息は気管支の過敏性亢進、アトピー咳嗽は咳中枢の感受性亢進で、いずれも激しい乾咳がでますので、症状からの鑑別は困難です。

咳喘息は長期的に喘息に移行することがあり、βアゴニストの吸入、ステロイドの吸入が有効で、喘息に準じて長期的にステロイド吸入を継続する必要があります。

アトピー咳嗽は喘息に移行することはなく、抗アレルギー薬が有効ですが、難治例はステロイドの吸入が有効となっています。長期的な治療は不要ですのでアトピー咳嗽を咳喘息として治療してしまうと、不必要な治療を継続されてしまう可能性があります。

詳しい検査をすれば両者の鑑別は可能ですが、なかなか難しいですので、症状が繰り返す場合には喘息に準じた長期的治療が必要と考えられます。ステロイド吸入は両者に効いてしまうので最初からはしないようにということになっておりますが、苦しんでいる患者さんを前にしていると、なるべく早く治してあげたいというのが現実的な対応と思われます

そのほかに最近はやりの
逆流性食道炎が慢性咳嗽の原因となっていることもあります。

また、結核の鑑別は重要であり、画像診断の困難な肺癌もありますので、慎重に検査・治療を進めていく必要があります。

2019/6/30