認知症についてのコーナーです。




認知症の診療について
 
もの忘れが多くなった、認知症なのでは?、詳しく調べてほしいなど、認知症についての診断・治療を受けたいとのご要望が急速に増えております。

これまでは本人に自覚がないまま、ご家族が付き添って連れてきて、認知症とはいわないでうまく検査・治療してほしいというようなことが多かったです。

最近は早期治療の必要性について認知されつつあり、ご自分で診察を希望する方も増えてきております。

認知症の診断は難しいとお考えでしょうか?
ご本人やご家族が認知症ではとお考えになるほどですので、私は認知症を特別なものとする必要はない考えております。

認知症の診断の第一歩は問診です、簡単なテストとして『
長谷川式』があります。そのほかにもいくつかの診断テストがありますが、どれも一長一短であり、理想的なものはありません。実際はちよっと話をすればわかります。ご家族からの情報も重要です。

ただし、通常の内科診察の中で『
調子はいかがですか』程度の問診をしていると、うまいこと話を合わせることができるのがこの病気の特徴であり、気をつけて診ていないと見逃してしまうことがあります。
その意味では『長谷川式』は便利だと思います。ただし時間がかかるのが難点です。

もの忘れの特徴としては、直近の記憶がスッポリと抜けてしまうというのが特徴です。
朝ご飯に何を食べたのかを覚えていないという程度のものから、食べたこと自体を覚えていないというものです。

診察の日に今日はどこに行くのかと、何度も同じことを聞いたりします。

ひどくなると親戚の人が訪ねてきていろいろと話をしていたにもかかわらず、『いまきていたひとはだれだ?』なんてこともあります。

散歩に出かけて帰り道がわからなくなり迷ってしまうこともあります。

何度も同じことを聞くので家族の方がイライラとして喧嘩になってしまったりします。

さらにひどくなると自分でしまった財布のありかがわからなくなり家族を疑って怒ったり、暴言、不潔行為、昼夜逆転、徘徊なども見られるようになります。

診断の上で大事なのは根本治療可能な原因による認知症を見逃さないことです。

甲状腺機能低下症でボーッとしている方もあります。
正常圧水頭症という治療可能な病気もあります。
これらの疾患を見落としていたら、最悪ですね!

画像検査の基本は脳MRIです。海馬の萎縮が特徴です。

脳血流シンチグラム、DATスキャン、心筋シンチなどが有用のこともあります。

アルツハイマー型認知症の場合、使える薬は4種類であり、それぞれの特徴を理解した上で、個々の患者さんにとってより有用なものを、適切な量で使用していきます。
2種類の薬を併用したり、周辺症状(行動心理症状)に対して向精神薬や漢方薬を用いることもあります。

アルツハイマー型認知症以外にレビー小体型認知症など、認知症にもいろいろな種類があります。これらの鑑別は比較的容易です。

認知症の治療は、個別治療であり一様ではありません。
なんども診察を繰り返しながら、ベストの治療を探っていきます。

治療薬は認知症をてきめんに改善させるものではなく、その進行を止めていくものです。

そのため、しばらくは効いているのかどうかがよくわからない状況が続きます。
長期的には落ち着いた状況になり治療の有効性を感じることができます。

超高齢化社会をむかえ、認知症の診療はかかりつけ医には避けて通れないものとなってまいりました。

これからも患者様やご家族に寄り添い、認知症診療に力を入れていきたいと考えています。